夫の病気は、慢性上咽頭炎だった

オリエンタル納言日常日記

皆さんは、『慢性上咽頭炎』という病気をご存知でしょうか。

ワタシはつい最近まで、この病気のことを全く知らずに生きてきました。

去年の11月に夫婦揃ってコロナにかかり、後遺症として夫の咳や胸の苦しさ、そして疲れと共に気持ちがどんどん沈んでいくという、目には見えない謎の症状と闘い続けてきました。

内科に通い吸入器を吸う生活が始まり、一向に良くならない症状でも「何とか軽くなるように」と思いながら、来る日も来る日も通い続けました。

しかし、結果は何一つ変わらず、さらに原因も不明のまま、病状はひどくなっていくような気がしてならない。

どれだけ病院を変えても、血液検査や別の検査をしても「異常がない」と言われてしまう。

コロナの後遺症外来に行けば、目も合わせてもくれずに「うーん、どうだろうね」なんて、はぐらかされてしまう。

内科に行き、大きな検査をしてもらって、耳鼻科にも行ってみたけど、何が原因なのかも分からずに時が流れてしまうばかりでした。

漢方が運命を変えた

以前からワタシ自身も原因不明の頭痛に悩まされ、毎日浴びるように薬を服用していました。

もはや「薬がなければ生きてはいけない」そんな不安が募り、どこに行くにも常に薬を常備して、少しでも異変を感じたら、時間の感覚も数も関係なく飲み続けてしまっていたのです。

そこで夫婦で何ヶ月も話し合った末に、「一度注射を試してみよう」ということで始めたのが、今の治療です。

初めの頃はあまり効果はありませんでしたが、2週間後には4年ぶりに薬を飲まずに1日生活を送れることができました。

今では滅多に痛み止めを飲むことはなく、漢方と予防薬を飲みながら頭痛が減っていく生活を送っています。

その漢方には、まるでワタシではなく夫に当てはまるような効果が書かれていました。

漢方自体には咳や喉の不調や体の不安感も整えてくれる作用があり、まさに彼の症状とも一致したのです。

そこで試しに、夫はワタシの漢方を飲んでみることにしました。

すると、心なしか咳が減ったような気がしたのです。

もう一度、病院を信じて

数々の効果がなく、彼の心は憔悴しきっていたような気がします。けれども、漢方のおかげもあり、微かな希望を抱いて、同じ病院に相談することに決めました。

ワタシが月に一度に打つ注射の日に合わせて・・・。

彼はきっと、色々な感情の中で葛藤をしていたと思います。

原因不明の咳と倦怠感の本当の理由が、分かるかもしれないという期待の気持ち。

もしくは、どうせまた分からないと言われて絶望する未来を想像すると、怖くてたまらない気持ち。

2つの感情が入り混じりながら、私たちは病院に行く日を待ちました。

別々の診察で

彼は初診ということもあり、ワタシが先に診察を済ませた後、そのまま注射を打ちに向かいました。

その間に彼も呼ばれ、そして診察を受けていたそうです。

注射の痛みに平気なワタシでさえも、毎月打っているこの注射は、正直とても痛いです。

けれども何とか痛みに耐えて、彼が診察室から戻ってくるのを待合室で待っていました。

するとうっすら目に涙を浮かべて、顔を赤くさせた彼が戻ってきたのです。

衝撃の治療に・・・

「ど、ど、どうしたの!?目が真っ赤だよ!!」

「・・・。あのね、今まで感じたことのないくらい、痛かった。もう、何も考えられないくらい・・・」

「ど、どんな検査をしたの?」

「コロナとかインフルエンザの検査あるでしょ?綿棒を突っ込むやつ。あれをね、鼻の奥に突っ込んでグリグリするんだよ。何倍とかじゃない。何十倍も痛かった」

「そうだったんだね・・・」

「なんかね、『慢性上咽頭炎』になっていて、酷い人ほど綿棒に血がつくんだって。そうじゃない人は、血がつかないらしいんだよ。僕はね、両方ともに血がべっとりついていたんだ。先生にも症状を話したら、『きっと慢性上咽頭炎だと思うよ。でもね、検査がとっても痛いから、どうする?』って聞かれて、僕は原因を知りたかったから、『お願いします』って言ったら、思っていた何十倍も痛かったから、ちょっと後悔してる。笑」と、話をしてくれました。

慢性上咽頭炎とは

実はこの病気自体があまり知られておらず、ようやくここ最近、後遺症患者さんの中で同じような症状を抱えている人たちが、『慢性上咽頭炎』だということが分かり、痛みに耐えながらも治療に取り組んでいるそうです。

これは内視鏡でも、別の検査でも見つけることができずに、この病気に詳しい人も少ないために、適切な治療も受けられないまま、苦しんでいる人が大勢いることを知りました。

そして待合室では、同じく慢性上咽頭炎の方がいて、あまりにも苦しそうな彼の表情を見て、話しかけてくれたのです。

その方もコロナの後遺症で、少し前までは起き上がることも、ご飯を食べることも出来ずにいたそうですが、この治療を受けてから少しずつ回復に向かっていると話してくれました。

ですが、彼女が最後に言ったのは「あの治療は、大人でも本当に辛いよね。痛いよね」という言葉だったので、相当なものなんだと少しだけ怖くなりました。

コロナの後遺症に悩んでいる方に伝えたい

今でもコロナの後遺症に苦しみ、原因不明の病気として変化のない治療にさらに苦しんでいる人が大勢いると思います。

全ての人がそうとは限りませんが、もしも、目眩や倦怠感、ワタシの夫のように空咳が出たり、息苦しさを感じていても検査では異常がないと言われた方は、一度『慢性上咽頭炎』について調べてみるのも一つの方法かもしれません。

ただ、治療方法や体験談を聞くと、少し尻込みしてしまうこともあると思うので、まずは病院で相談してみるのも一つだと、ワタシは思います。

夫自身も「治療は痛すぎて、もうやりたくない・・・笑。でも、今まで分からなかった原因がわかって、すごくホッとした気持ちになったんだ。ちゃんと症状を理解してくれる人がいるって知ることができて、それが一番嬉しかった。当分は、鼻うがいとかやれる事を頑張ろうかな」と。

まだまだ後遺症で苦しんでいる人が沢山いる中で、このエッセイが少しでも何かの糸口になることを、心の底から願っています。

 

ナイーブな私に勇気をください

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