今年の4月から約2年ぶりに保育士として働き始めていますが、相変わらず保育業界の難しさと厳しさを感じながら子どもたちと向き合っております。
残念なことに職場の雰囲気をぶち壊す人がいたり、相手の気持ちを考えずに自分の思い通りにしたいがために、傍若無人な態度をとってくる人がいるのも事実です。
子どもたちがいくら可愛くても、大人のいざこざや負の感情に振り回されることの方が多く、その度に心も体も少しずつ壊れてくような気がしてならない場面もいくつかあります。
ただ幼稚園時代や保育園時代になかったものを得られていることも確かです。
正社員として働いていた頃、全ての人が敵に見えてしまうことがありました。
どれだけ頑張っても認めてもらえずに、全てを否定されてしまうこともありました。
だからワタシはある時を境に、保育の世界から一度退いたのです。
「こんな思いをするのは嫌だ。もう、自分自身を嫌いになるのも耐えられない」そう思うことが多すぎたから・・・。けれども今は、少しだけ景色は変わりつつあるのです。
腹黒冒険家
今の職場には、出会った時からどこか他人とは思えない1人の保育士さんがいました。
彼女はワタシよりも遥かに歴を重ね、あらゆる経験をしてきた人でもあります。
ただ妙に親近感が湧いて、直感で(この人とは仲良くなれるだろう)そう思ったのです。穏やかで優しく、笑顔が素敵な彼女の秘めた部分にも惹かれていたのかもしれません。
出会ってから少しずつ距離が縮まり、仲良くなっていったある日、ワタシは彼女にこんなことを聞きました。
「先生って自由奔放で冒険家みたいなところがありそうな気がする。いつも笑顔で仕事もなんでもこなしているけど、もしかするとウチに秘めたものがちょっとだけ黒い感じもするんだよね」と。
すると彼女はくしゃっと笑いながら、「どうしてわかったの!?腹黒いのバレたかな」なんて言いました。
あの時の会話がさらに私たちの距離を縮めていき、今ではなんでも相談できる大切な先輩です。
天真爛漫の申し子
今まであらゆる人と出会ってきましたが、後にも先にも「天真爛漫」という言葉が誰よりも似合う人を見たことがありません。
ワタシの出勤時間は普通の人たちとは違い、少し遅めの15:00になっています。保育園に着くといつもワタシの顔を見て、「おはようございます」と満面の笑みを浮かべて挨拶をしてくれるのが、この天真爛漫の申し子である後輩なのです。
嬉しい時は満面の笑みを浮かべ、困った時には背後から『ガーン』と効果音がなりそうな顔になることもあります。悲しい時には眉をへの字に曲げて「すごく困ってます」みたいな表情になることもあります。
天真爛漫で明るい彼女だからこそ、どれだけ辛くても、悩んでいても負の感情を表に出すことはあまりしません。
それどころか「納言先生、今日元気ないけど大丈夫ですか?」なんて声をかけてくれるんです。
彼女の優しさと真っ直ぐさにどれだけワタシは救われたことか。
心遣い日本代表
ワタシと年がさほど変わらない1人の先生とは、最近仲を深めていきました。
元々ワタシ自身も心を開くのには時間がかかるのですが、彼女もまた人見知りがあり仲良くなるまでに時間がかかると話しており、私たちは時間をかけて交流を深めていきました。
そんな彼女は繊細で優しく、誰よりも心遣いができる子でした。
優しすぎるあまり苦労をしたこともきっとあったでしょう。そんな彼女と仲良くなるにつれて、どこか自分と似ている部分もあり、そして時折頑張りすぎてしまう彼女に声をかけては、2人だけで「今週も楽しく過ごそう」と励まし合うこともあります。
心遣いができる彼女は、きっと今までの人生の中でも頑張りすぎてしまうことがあったと思います。それでもその優しさと少しの変化にも気づいて声をかけてくれるところに助けられた人は、ワタシを含めてたくさんいたと思うんです。
そんな彼女は、ワタシのエッセイを楽しみにしてくれており、新しい話を投稿するたびに直接感想を伝えてくれるんです。そういうところもまた、彼女なりの心遣いが詰まっていると感じています。
吸収力のパイオニア
さてこの園には、もう1人年下の先生がいます。彼女は別の職種から今年初めて保育士になったばかりだったそうです。
保育の現場は特殊なことも多く、悩んだり時には不安に思うこともきっとあったと思います。
けれども困った時には「納言先生」と声をかけてくれて、ワタシが話したことは次の時にはもうすでに取り入れてくれていました。
あまりの吸収力の速さと実行力には何度も驚かされました。
専門職だからある程度の技術や知識は必要かもしれません。
けれども初めてだらけの環境の中でも、あらゆる人の言葉を聞いて自分なりの色に変えていく対応力には学ぶところがあり、ワタシ自身も密かに取り入れていることも多々あります。
そんな彼女には口癖のようなものがあり、特に意味はないけれどふとした時には顔を見ると、決まってニヤッとしながら「なんですか?」と聞いてくれるんです。笑
あらゆる人たちに出会い
勤務時間の関係で会えない給食さんが1人いるのですが、奇跡的に職場で会えた日には2人で抱き合いながら「会えたね!!」と喜びを分かち合うことがあります。
ただ本当に滅多に会えないもんだから、中々運命的な再会をすることが最近できていません・・・。
幼稚園、保育園ともに今でも交流がある人たちがいます。かつては同僚だった人たちは友人として関わるようになり、時間が合う時には一緒に遊んだり、近況を報告しあったりしています。
そして今の職場の先生たちとも、ゆっくり時間をかけながら同僚として、時には友人として関わりを深めている最中です。
支えて、支えられて
仕事は楽しいことばかりではありません。
保育の業界の難しさ、いまだに根強く残っている謎の年功序列や役職への大袈裟すぎる配慮などもしなければなりません。
それでもこうして新しい場所で、新しい出会いがあり、心のセーブポイントとして多くの場面で救われることがあります。
年齢や歴は正直ワタシには関係ないものであり、お互いに思いやりの心を持って子どもたちと楽しく過ごすこと、それが何より保育士として必要なことだとも思っています。
そして今、不安と悩みは尽きませんが、新たな場所で出会った戦友たちには感謝の気持ちでいっぱいです。
かつてたった1人で戦うしか道がありませんでした。
どれだけ頑張っても、寄り添おうとしても踏みにじられてしまうこともありました。
今の場所で唯一良かったこと、それは新たに出会った先生たちとは同じ気持ちで子どもたちの成長を見守れていること、それが何より幸せなのです。
ナイーブな私に勇気をください
地獄の職場の···を読んで
前段で、『保育業界の難しさときびしいさを感じながら、子供たちと向き合っております。』と始まったので、むむむと緊張が走りました。
しかし、読み進めて行くうちに、どことなくポジティブで弾むような文章に引き込まれてました。笑
文中、『直感でこの人と仲良くなれる』から···『同じ気持ちで子供たちの成長を見守れる』まで各所に見受けられました。
納言さんの『心の余白』の広がりが実感でき大変清々しい気持ちになると共に、納言さんが元気になられたのだなぁと感じました。
難しさときびしさは拭えませんが、あまり緊張せず、職場の仲間と子供たちの成長を見守って下さい。ありがとうございます。
いつも読んでくださりありがとうございます。
今でも保育業界の厳しさや、心をドキッとさせるような言葉や態度をとってくる人もいます。けれどもその反面、温かい言葉をかけてくれる人や、一緒に些細なことでも笑い合える同僚に出会えたことも事実です。
無職の時には感じられなかった「心の余白」が少しずつ広がりを見せているのかもしれません。
心の余白を感じながら、これからも子どもたちと一緒に日々を楽しく過ごしていきたいと思います。