青い空に白い雲、少しだけ暑さを感じる日に、一生懸命自転車を漕ぐ学生たち。
キラキラ光り輝いている汗を髪の毛と共になびかせて、友人たちと楽しそうに話しながら自転車で走り去っていく姿を車の中から見つめていました。
もう二度と戻ってこない青春の一ページを見ているような気分になりながら。
同じ空の下に存在しているのに、彼らとワタシはまるで別の世界を生きているような気がしたんです。
手を伸ばしたら届きそうな距離感にいるはずの彼らの姿、そして今のワタシの姿を重ねながらもう二度と手に入れることのできない青春に嘆きそうになったのです。
「青春はもう二度と、戻ってこないんだ・・・」そう呟いて車のドアガラスを閉め、シフトレバーをドライブに変えてアクセルを踏みました。
あぁ、ワタシの青すぎる春は
学生時代は何一つ上手くいきませんでした。
同じように自転車を一生懸命漕ぎながら、髪の毛をなびかせて走っていた頃があったけれど、側から見たらきっとキラキラしたようには見えなかった。
どこか疲れているようにも見えていたし、あんな風に友人たちと楽しそうに話をすることもできなかった。
とてもうらやましかったんです。
彼らの姿と自分の過去の姿が違いすぎて。
大人になった今だからわかる。あの時期はお金をどれだけ積んでも、どれだけ神様に願ってももう手に入らないことを。
色々な感情を経験し、心も体も大人になってしまった今では彼らのような純粋な気持ちも手に入らないことも。
もう、どこかでわかっているのかもしれません。
学生の頃に戻れるのなら、今までできなかったことをたくさんしてみたかった。
気持ちを共有し合える友だちを作り、そして自転車を必死に漕ぎながらどこまでも続く道を走ってみたかった。
けれども、そんなことはもう、できないんです。
些細なことにトキメキを
学生の頃は早く大人になりたいと願っていたと思います。
とても大きく広がった世界に強く憧れていたし、新しい自分に生まれ変われるような気もしていました。
何もかもが想像できなかったからこそ、余計に大人になりたくて仕方がなかったんです。
けれども大人になってからは、ふとした瞬間に子どもに戻りたくなったり、学生時代をやり直したいと思うことが増えたような気がします。
今の人生に後悔はないけれど、些細なことでトキメキを覚えていたあの頃に戻りたい。そして小さなことで感情が揺さぶられて感動をしていた頃の気持ちを取り戻したいと思うことがたまにあるんです。
ワタシの中にあった青春を取り戻したいと思う瞬間が・・・。
今日もまた自転車を
いつも仕事に向かう時と帰る時に自転車を見かけます。
暑さが体を伝う日にも、必死に自転車を漕いでいる学生たちをワタシは車の中から見ながら。
クーラーが効いた車内から風景の一部になっている彼らの姿を見送り、また青春を謳歌する姿に憧れてしまうんです。
制服に袖を通し、揺れるスカートと共に髪をなびかせ前だけを見つめ走り去っていく頃に戻りたい。
友人たちと楽しそうに笑い合い、自転車を並走させている頃を味わいたい。
そんなことを思いながら、ワタシは車の窓ガラスを見つめて前を向き別の世界へと走り出す。
そんなコントラストを密かに感じながら、社会の中に溶け込もうとしているのかもしれません。
青い空と自転車で
今では車の方が便利だから、自転車に乗る機会なんてほとんどなくなってしまいました。
ましてや友人と話しながら自転車を漕ぐことも、誰かと目的地に向かってひたすら走り続けることもなくなってしまった。
そして「自転車に乗る?」と聞かれたとしても、きっと「車の方が便利だから」と断ってしまうと思うんです。
そういう意味でもやっぱりワタシは、心も体も大人になってしまったのでしょう。
だから今彼らが感じているような青春のトキメキを、味わうことができなくなってしまったのかもしれません。
飛行機が頭上で長く雲で線を描くように飛んでいる空に、大人になってしまったワタシと、今から大人になろうとしている彼らが風景となり、今日も当たり前の日常の中に溶け込んでゆく。
それもまた、一つの青春なのかもしれません・・・。
ナイーブな私に勇気をください
青春にコントラストを読んで
青空と自転車、まさに青春ですね。
時間は常に一方通行で過去には戻らないようです。
あの頃は、箸が転んでも面白いと言う表現がピッタリです。自由に物を買うために、早く大人になり働きたいと思っていました。
しかしどうでしょう、現実はリアルで、すぐに箸が転んでも面白くなくなり、つまらない日々の繰り返しで、どんどん月日が過ぎて行き今に至りました。
結婚したり、楽しいことや幸せなことも沢山ありました。
でも、もうあの青春時代に戻ることは出来ません。
今、目の前にある自分しか感じられないこの人生を、精一杯楽しむと言うことを生きる目的として行こうと思いました。
ありがとうございます。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
自転車と青空、そして汗をかきながら楽しそうに自転車を漕ぐ学生の姿に、どこか妙に憧れを感じることがあります。
TKさんもおっしゃっている通り、「一方通行で戻ることのできない過去」に寂しさを感じているのかもしれません。
学生時代は、「早く大人になりたい!」と願い続けていましたが、今思えばそれもまた、幸せな願いだったなぁなんて思っています。笑
ただ後戻りができなからこそ、今目の前にある人生を、自分ありの大人の青春を見つけながら歩んでいこうと思いました。