数々の元彼シリーズを書いてきたワタシですが、ふと「そういえばアイツについて書いてなかったな」と思い出した話がありました。
今思い出しても、何やってるんだよ！と言ってやりたくなるような、そんな話が。笑
何度もお話ししている通り、ましゅぴに出会うまでのワタシは、まるで恋の廃人と言っても過言ではないほどの落ちぶれ方をしていたし、付き合う人はどれもこれも、タイプの違ったクズ男ばかりだったし、何よりきっと、ワタシ自身もクズだったと思うんです。
類は友を呼ぶと昔から言われているけれど、まさにその言葉通り類友として、一緒にクズ街道を爆走していたんです。
だからこそ、これだけ豊富な話ができるんですけどね。笑
さてそんな中、今回のエピソードは元彼ではないけれど、ワタシがマルチ商法とは知らずに恋心を抱き、騙されかけた話を書いていこうと思います。
最近では、色々な詐欺やマルチに引っ張る手法が横行していますので、SNSでの出会いや、これからマッチングアプリをやろうとしている人は、特に気をつけてほしいと思います。
それでは、スタートです！！
メガネがよく似合う彼
出会った彼（通称マルチ）はプロフィールからも伝わるほど清潔感が漂い、まさに好青年という印象を与えてくれる人でした。
当時のワタシは27歳になり、彼はまだ22歳。
初めの頃は恋愛感情なんて全く抱いてはいなかったのですが、その見た目と清潔感、そして洗練されたプロフィールに「仲良くなれたらいいな」なんて思っていました。
この時からすでにマルチにとってワタシはカモだったかもしれませんが、それを微塵も感じさせない洗練されたやり取りは、すぐにワタシの心をガッと鷲掴みしてきたんです。
とは言っても、その後のことが衝撃的すぎて、どんな話のやり取りをしたのかは、もう思い出すことが出来ません。しかし、とにかく好青年、そして清潔感の二つが印象的でした。
新たな特技を知って
主にLINEでやり取りをしていたのですが、仲を深めていくうちに、週に何回かは電話をするようになりました。
仕事の話をしたり、趣味の話をしたり、その時間はとても楽しくてあっという間に過ぎていきました。
特に仕事が忙し過ぎて、疲れを常に感じていたワタシにとって彼とのやり取りは、まさにオアシス以外の何者でもありませんでした。
電話をした後には、幸福感に包まれて、「また明日も仕事、頑張ろ！」とやる気がみなぎってくる。そんな存在に出会えたことも純粋に嬉しかったんです。
そんなある時、彼はいきなりこんなことを言い出しました。
「納言ちゃん！僕ね、タロット占いができるんだよ」
「タロット占い！？えっ？すごい」
「毎月決まった日に占って、月末には来月の運勢を見ながら、次の月がより良いものになるように占ってるの」
ここでワタシは気づかなかった。
このタロット占いは、占いが好きな人のためにマルチに引っ張るための口実に使われていることに。
そして占いという言葉に興味を持ってしまったワタシの言葉を瞬時に察知したところで、「もしよければ占ってあげるよ。友だちも一緒に見てあげるよ？」なんて言ってくれるんです。
「えっ！？いいの？やってほしい！！」
この時はそこまで深く考えていなかったし、タダで占ってもらえるなんてラッキーとしか思っていなかったんです。
上手い話には罠がある。それを全く感じることも、察知することもできない当時のワタシは、本当に愚かでした・・・。
いざ、タロットを
そして約束を決めて、当日はワタシの友人と共にタロット占いをしてもらうことになりました。
当時、友人とルームシェアをしていたということもあり、その友人と一緒に今の運勢だったり、今後の行く末だったりを占ってもらいました。
ワタシ的には仲も深まってきていたので、占いをしてもらっている間、（色んなことに興味を持つことって素敵だなぁ）としか思っていなかったんです。
しかし、友人は全く違う考えを抱いていたのです。
タロットをしている間、マルチは必死に何かを読みながら話をしていました。
このカードはどんな意味なのかも、その都度その都度、説明書を読みながら話していました。
「すごいね！」と声をかけると、どんどん嬉しそうに誇らしげに話す姿とは対照的に、友人の顔は少しずつ曇りを見せていきました。
ご満悦で帰宅をした彼がいなくなった家では、すぐさま友人が口を開き、こう言い始めたのです。
「ねえ、あの人って大丈夫かな・・・」
「えっ？どうして」
「いや、だってさ、タロット占いって言ってもなんかずっと紙見てたし、なんか裏があるような気がするんだよね・・・。分からないけど、なんかちょっと私はあの人苦手かも」
「そうだったの？」
「いやでも、うーん・・・。何かあったらすぐに話してね。ちょっと何考えているか分からない感じの人だったから」
「わかった！ありがとう」そのやり取りは、後々の出来事の中で伏線を回収することとなるのです。
デートを重ねて
友人の忠告は、どこかワタシの心に引っ掛かっていました。
それでも会えば、「今日の納言ちゃんも素敵だね」と言われて、喜んでしまうワタシがいたし、会っている時だって、楽しい気持ちの方が強かったです。
彼とのデートは基本的に夕方からが多かったのですが、知らない場所に連れていってくれたり、美味しいご飯屋さんを知っていたりと、とても22歳にしては大人びているところも魅力を感じる一つでした。
そんなある日、彼の過去の話を聞くこととなったのです。
「実は今、会社を経営してるんだ。映像を取り扱ってるんだけど、ある社長さんと出会って。僕の人生は180度変化したんだよ。元々は料理人を目指していたんだけど、毎日拘束時間も長くて、忙しさのあまり自分を大切にできていなかったんだよね。だけど、今は自分の会社を持って、新しいことにチャレンジして、すごく充実してる。『僕の生きる場所は、ここだったんだ』そう初めて思えたんだ」と。
そして続けて、「ところで納言ちゃんは、今の保育士の仕事で満足してるの？」と聞かれたのです。
ワタシはここで「満足してるよ」とは言えなかった。
仕事は忙しく確かにやりがいもあるけれど、自分を大切にするほどの時間もなければ、やりがいだけではどうにもできな現状もありました。
どれだけ頑張っても報われないし、理解もできないような場面で怒鳴られたり、指摘されたり、思い描いた保育が出来ないことも多くありました。
「一体ワタシは何のために保育士として働いているんだろう」それが今の本音だったんです。
そこを突かれた今、口篭ってしまい、考え込んでしまったのです。
すると微かにフッと笑ったかと思うと、「きっと今の現状に満足できていないんでしょ？納言ちゃんはきっと面白い人だから、このままじゃダメだよ。もっと自由に、やりたいことにチャレンジしなきゃ」その言葉が、背中を押してしまったのかもしれません。
当時のワタシからしたら、まさに救世主のような存在に見えてしまったんです。
この人だったら、もしかしたら今の現状から抜け出す方法を知っているかもしれない。そんな淡い期待を抱く機会を与えられたような気がしてしまったのです。
徐々に縮まる距離と忍び寄る黒幕
あの一件以来、ワタシとマルチの距離はグッと縮まりました。
前よりもデートに行く回数も増え、人目も気にせずに手を繋いだり、ハグをしたり、まさに友達以上、恋人未満という関係のまま時間をかけて距離を縮めていきました。
そしていつしか、ただの友人として接していた気持ちから、恋心が芽生えてしまったんです。
新しいことにチャレンジしている姿に憧れて。
年齢を感じさせないほどの大人な対応に惹かれて。
そして何より、やりたいことに真っ直ぐ進む姿を尊敬し始めていました。
しかし、この時のワタシの気持ちとは裏腹に、マルチは水面下で動いていたんです。
マルチ商法に引きずり込むタイミングを今か今かと狙い、そしていつでも落とせるように。
社長という名を使って、尊敬できると言っていた人の存在をちらつかせて。
そちらの世界に来させるための策略を虎視眈々と狙っていることに、ワタシは微塵も感じることも、気づくこともできなかったのです。
会わせたい人がいるからと
その日は突然やってきました。
いつも通り、夕食を共にしていると、「ねえ、実はね納言ちゃんに会わせたい人がいるんだ。僕の尊敬できる、ほら、恩人だって話してた人。その人に納言ちゃんのことを言ったら、『ぜひ会いたい』って言ってくれてさ。もしよかったら、会ってくれないかな？紹介したいんだ」
実はこの時、一瞬だけ脳裏をよぎっていたのです。
社長という言葉に、もしかすると社長という名のマルチ勧誘ではないかということを。
しかしそんなことを言ったら、今まで築き上げてきた関係性が失われてしまう。もしかすると、今までみたいに遊んでくれなくなってしまう。
そんなことを考えてしまったもんだから、ワタシは心にもないことを言ってしまいました。
「え！ワタシも会ってみたい」そう喜んだふりをして。
この時には少しずつ関係性も崩れ始めていたのでしょう。
そして、とうとう恩人という名の謎の社長に会うことが決まってしまったのです。
〜次回予告〜
マルチに連れられ行った場所とは…
初めての体験に不安と不信感の連続に、物語は、どんどん進み始めていく。
次回お楽しみに！！！
ナイーブな私に勇気をください