AIの大いなる可能性と、３人の表現者たち

ワタシの夫である西川真周は、一年前ほど前からAIを使って「架空昭和史」という新しくできたジャンルを通して作品を作り、頭の中で思い描いてきたものを形にして、SNSで発信を続けています。

その様子を見てきた中で、たびたび「彼の頭の中ではこんな風になっているんだ」と驚かされることもありました。

そして架空昭和史の第一人者であるプロハンバーガーさんを師匠と呼び、リスペクトした上で活動を続けています。

ワタシも何度かプロハンバーガーさんに会ったことがあるのですが、彼は無邪気な表情を浮かべながら「ぜひ、一緒に架空の世界を盛り上げましょう」と笑顔でそう彼に伝えてくれました。

だからこそ彼は師匠の姿を追いかけて、その志を尊敬し、そして同じように表現することの楽しさを追い求めているのかもしれません。

もう一人の作家に出会い

そしてつい最近、プロハンバーガーさんと共にもう一人のAI作家のUMEさんと合同の出版イベントに行きました。

UMEさんはAI技術を使って、架空の廃墟を生み出している一人でもありました。

イベントに行くまで、ワタシはUMEさんの作品を見たことがなく、彼から名前を聞いただけで、どんなことをされていて、どんな作品を作っているかはあまり知らなかったのです。

合同イベントに行き、初めてUMEさんを見た時には物腰の柔らかい好青年という印象を受けました。

「あの人が、AIで廃墟を作っている人なの？」

「そうだよ。ジャンルは違うけど、すごく繊細で、どこか職人みたいな気質があって、同じ表現者として尊敬しているんだ」と話していました。

多くの誹謗中傷に晒されて

イベント開始から始まったトークは、まさかの「Xに届いた無数の誹謗中傷の話」だったのです。

廃墟には根強いファンの方々がいて、AIで表現をすることは未知数のチャレンジとも言える部分だったのでしょう。

AIという言葉に初めから拒否反応を示す人がいたり、「こんなのは廃墟でもなんでもない」といった言葉を投げつけられたりもしたそうです。

出版するにあたり、架空昭和史ではなかった苦労をUMEさんと、UMEさんの作品に感銘を受けて協力してくれた出版社の方たちが口を揃えて「誹謗中傷は本当に辛かった」と話していました。

その言葉を聞きながら、UMEさん自身も戸惑っているような、それでも自分の作品に誇りを持っているからこそ、凛と構え、誹謗中傷とも向き合い続けたような印象を受けたのです。

初めて見る作品の数々に

元々オカルトや廃墟などにも興味があったワタシは、実際にUMEさんの作品を自分の目で確かめることにしました。

AIで作られたとは思えないほど繊細で、どことなく優しい雰囲気をまとい、現実と仮想の境目がわからないほど美しい廃墟ばかりだったのです。

見れば見るほど虜になっていき、彼のやっている作品とはまた違ったテイストの表現の仕方だったので、改めてAIの可能性を、そして表現する自由さを、目の当たりにした瞬間でもありました。

それと同時に、「これだけ素晴らしいものを作っていても、AIと名がつくだけで批判にさらされることがあるんだ」と、なんとも言えない気持ちになったのです。

人柄も作品の一部となって

イベントの最中にあった休憩時間や、その後の歓談の時間にUMEさんと話をする機会がありました。

初めこそ、彼の後ろについていきながら少しずつ会話を重ねたのですが、とても丁寧で柔らかい言葉の使い方をされる方で、それでいてワタシに対しても穏やかな口調で「今日は来てくださり、本当にありがとうございました。これからも大変なこともあるけれど、一緒に楽しみながら色々なものを作っていけたら良いですね」と話してくれたのです。

そして繊細かつ、どことなく優しさを感じる作品の数々は、きっとUMEさん自身の真の姿を映し出しているのかもしれない、そう思わせてくれたのです。