結婚を諦めた私が選んだ相手

オリエンタル納言日常日記

私は昔から、自分の性に疑問を持つことが度々ありました。

思春期になると胸が膨らみ、女性らしい体つきになっていくことが許せませんでした。

子どもから大人へと変わっていくことも不快だし、性別が一目で分かるような体型に変化していくことも嫌で仕方がありませんでした。

だから両親に隠れて、布でサラシのようなものを巻いて胸をつぶしたり、あえてブラジャーをつけずに学校に行ったこともあります。

ただこの時は、LGBTQのことも知らずにいたから、体の変化に対しての違和感がなんなのかを理解することができませんでした。むしろ思春期特有の心の変化程度にしか考えていませんでした。

心と体の変化に戸惑う日々

高校生になり、私は一つ年上の先輩と付き合うことになりました。初めての彼氏ということもあり、雑誌に載っている流行のファッションを勉強しながら、彼が喜ぶ服ばかりを着るようになっていきました。

しかし、この頃から少しずつ心と体の違和感を感じるようになっていきました。

それでも初めて付き合った彼氏だから、違和感を心の中にしまい込んで「かわいい」と言ってもらえるような服を選んでは着ていました。

しかし、私が短大に入学してすぐにお互いに気持ちが離れてしまい、約3年間の交際はあっけなく終わってしまったのです。

社会人になり新しい彼氏ができた時、私はまた、心と体の違和感を感じる出来事がありました。

彼には理想の彼女というものがあったらしく、デートに出かけると好みの女性を見つけて「俺、あの服装好きだわ。今度あれ着てみてよ」とお願いをされることが多々ありました。

しかし、どれもこれもが私とは正反対の見た目と服装をしている人ばかりだったのです。それでも、彼に好きでいてもらいたくて、似合わない服を買ってデートで着るようにしていました。彼の好みの時は沢山褒めてもらうけれど、私自身が好きで着ている服には、ダメ出しをされる。そんな日々が続き、我慢の限界を迎えた私は、彼に別れを告げることにしました。

その後も数人とお付き合いをしましたが、心と体の違和感はどんどん膨らんでいくばかりでした。

その時々の彼氏に合わせた見た目になるけれど、どこか気分は晴れないままでした。そして、その違和感を彼らも感じていたのでしょう。初めのうちは好意を持っていてくれても、気持ちは徐々に離れていき、最後には浮気をして私と正反対の女性のところへと行ってしまったのです。

LGBTQと言えずにいた理由

私の中でLGBTQに対する認識は、恋愛対象が基準となること、そして性別の不一致が大きな要素だと思っていました。

恋愛対象が男性であり、また、心は完全に男性ではない私は、どこに属しているのかが分からず、LGBTQとして声をあげてはいけないとも思っていました。

それは、つい最近までずっと心の奥底に隠し続けてきたのです。

夫との出会いが運命を変えるきっかけに

実は夫との出会いは、ペアーズというマッチングアプリでした。27歳になっていた私は、仕事も恋愛も最悪な状況でした。SNSを見ると幸せそうな同級生や友人が家族写真をあげている。夫がいて、子どもがいて、そんな暮らしを見るのも辛いくらい…。

だから決めたんです。

マッチングアプリでも上手くいかないなら、次に「いいね」を押してくれた人とやり取りをして、アプリを辞めようって。

これが恋愛に発展しなくても、結婚ができなかったとしても、それもまた一つの人生なんだって。

そう考えた途端、肩の力がふぅと抜けて「どうにでもなれ!!!」と思った時、一番初めに「いいね」をしてくれたのが今の夫だったのです。

正直期待もしていなかったので、今までの中で一番等身大の姿でやり取りをしていたような気がします。毎日連絡を取り合うようになり、時には電話をするようになり、数日後に会う約束をしました。

当日、少し早く待ち合わせの駅で待っていると、とてもヘンテコなマスクをつけた未来の夫が小走りで近づいてきたのです。

「お、お待たせ!!!待たせちゃったよね?ごめんね。納言ちゃん写真で見たよりもかっこよくて素敵だ」と満面の笑みで言ってくれました。

その言葉を聞いた瞬間、「あっ、私この人と結婚するな」と思ってしまったのです。側から聞いたら「何言ってるんだよ」と思われるかもしれないけれど、それからすぐに交際が始まり、付き合って5ヶ月目にディズニーランドの裏路地みたいなところでプロポーズをしてもらい、1年記念日に晴れて夫婦となりました。

性別にとらわれない生き方を教えてもらった

夫と付き合っている頃から、男性的な服装をすることが多く、時には夫よりも短い髪型をしていることもありました。その姿を見ていつも「納言ちゃんはかっこよくて素敵だよ」と褒めてくれていました。

それでも、周りから見たら男性同士に見えることもあり「あの人たち何?ゲイ?」と指をさされたり、上から下まで見られることもありました。

それでも「私は好きな格好をして生きていく」と決めたのは、夫がありのままの私を受け入れてくれたからだと思っています。

今私が思うこと…

幼い頃は、考え方や価値観が合わないだけで「変な子」と言われ続けてきました。そのせいで学生時代には、何度も生きづらさを感じて周りに溶け込めないこともありました。

けれども、大人になりようやく「心と体」について伝えることができる今、恋愛対象が異性であっても、違和感を感じる人はいるのだと知ってもらえるきっかけになると思っています。

夫自身、体に違和感を感じたことはないそうですが、恋愛対象は異性だけではなく全ての人が対象となる“パンセクシャル”だそうです。

体に違和感を感じ男性のような見た目を好む私と、全ての人が恋愛対象である夫。

互いに性別にとらわれず、何かにカテゴライズされることもなく自由に生きていこうと思います。

「人は、神様から『個性』という名のギフトを与えられているんだ。人と違う考えや生き方があることは、素晴らしいことなんだ。自信を持ってありのままの君でいればいいさ」と言ってくれたからこそ。

ナイーブな私に勇気をください

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