パニック障害を知る

オリエンタル納言日常日記

ワタシのパートナーであるましゅぴは、コロナの後遺症で慢性上咽頭炎というあまり聞き馴染みのない病気と闘っています。

そして、その病気の二次障害の一つとしてパニック障害も発症してしまいました。

付き合っている頃は健康そのものであり、むしろワタシの方が病気がちでいつも薬が手放せない状況でした。

しかし二人ともが同時期にコロナに感染し、彼自身が後遺症に悩まされるようになってから、お互いに薬が手放せない生活へと変化していきました。

常に朝、昼、晩の漢方薬を常備し、食事の前にワタシは頭痛を和らげる薬を、彼は慢性錠咽頭炎とパニック障害を和らげる薬を飲む生活をしているのです。

辛さがわからなくて

頭痛がほとんどない人に、片頭痛の辛さを話しても心配はしてくれるけれど、本当の辛さまでは理解されることはきっと難しいとも思います。

一番わかりやすい例で言うと、血祭り(生理)が典型的な例かもしれません。

女性特有のあの痛みと辛さは、男性にいくら説明しても全てを理解してもらうことはとても難しいと思います。

それは経験したことがなく、本当の辛さを体験することもできないからなのです。

どれだけ理解しようとしても、完璧には理解をし寄り添うことはどれだけ素晴らしい人でも難しいことだと思います。

そしてワタシにとって、パニック障害は「理解してあげたいけど、完璧に理解できな病気」の一つだったのです。

乗り物酔いから始まって

初めて彼がパニック障害を発症した時は、車の中でした。

友人たちと4人で乗り慣れていない車に乗った時、彼は不安そうな表情を浮かべていました。すると顔色はどんどん青ざめていき、今にも嘔吐しそうなくらい限界を迎えている様子だったのです。

ただその時は、乗り慣れていない車であり、さらに山道を走っていたことから(きっと酔ってしまったのだろう)くらいにしか考えていませんでした。

しかし、それ以降ワタシの車に乗るときにも不安な表情を浮かべ、ときには顔色までもが悪くなっていきました。

少しだけ震える手に、滲み出る汗、いつもと様子がおかしいことは明らかだったのです。

ただその原因が何かは全くわかりませんでした。「もしかすると、乗り物に酔いやすくなったのかな?」程度にしか、ワタシも彼も思いませんでした。

続く症状に

ただそれ以降、ことあるごとに息苦しさを訴え、ときには不安な表情を浮かべる彼の姿は、今までとはまるで違っていたんです。

あるとき、ワタシが精神を安定させる漢方を飲んでいることを知った彼は、同じ病院の先生のところで受診をしてみたいと言いました。

そこで病院に行ってみると、「コロナの後遺症で慢性上咽頭炎になってるね。脳に近いところだから、パニック障害も引き起こしやすいんだよ」と言われたのです。

ここで初めて、彼は乗り物酔いになっているのではなく、パニック障害になってしまったことを知りました。

パニック障害という名前は知っていたけれど、実際はどのように苦しくて、どのような状態になってしまうのかが、私たちはまだ理解できていなかったのです。

ただ突然現れる恐怖心が密閉された空間で「死」さえもよぎらせてくること。そしてどんどん呼吸は浅くなり、窒息してしまうのではないかという不安に駆られることを後に知ることになります。

擬似体験を経て

慢性上咽頭炎と言われてから、彼は毎週Bスポット治療という痛みを伴う治療を続けています。

一方ワタシは、彼の病気のことを知っても全てを理解することはできずに、あまり寄り添うことができませんでした。

ときには、ワタシ自身も頭痛がひどい時があると、彼がパニックを起こしそうになったときに対応できず、蔑ろにしてしまうこともあったんです。

名前は知っていても相手がどんな思いで、どのように辛いかを理解することができなかったと思います。

しかし、つい最近ワタシは、夢でパニック障害を擬似体験したことがありました。

とても不思議な夢ではあったけれど、地上にいるのにどんどん息は上がり、苦しくなっていく不安。陸の上で溺れそうになる感覚と恐怖心が一気に押し寄せて、今にも「死」を覚悟しそうになる程の緊張感に、冷や汗が出てしまうほどのリアルな夢でした。

近くに人がいるはずなのに助けを求められず、少しずつ周りも歪んで見えて来るような感覚すらしたんです。

その時の孤独感と言ったら、言葉で表せないほどでした。

夢から覚めた時、初めて気づいたんです。「ましゅぴは、これをリアルな世界で体験していたのか」ということを。

初めて辛さを知れた時

夢を見終わった後、ワタシはすぐさま彼に連絡を入れました。

自分が夢で体験したことを、鮮明な記憶のうちに話しておきたかったんです。

どれだけ辛い状況で、どれだけ不安で孤独感に押しつぶされそうになっている状態かを伝えました。

今までのワタシの行動は、あまり褒められたものではありません。「知らないから。わからないから」そう言って、理解する気持ちがなかったのかもしれません。

夢ではあるけれど実際に体験した今、これからの彼への関わり方を大きく変えていこうと改めて考え直したんです。

そしてどうすればいいのかも彼と話しながら、これからは彼がパニックを起こしたときには、実践していこう思います。

自分が体験したことのないものや、知らないことについて理解を深めることは、決して簡単ではないと思います。

ただ、寄り添おうとする姿勢を見せて、相手がどのような状況で何に苦しんでいるかを聞くことはできる。だからこそ話し合いを重ね、少しでも不安を取り除くことが大切だと思うのです。

目には見えない病気と一人で闘うよりも、「あなたのそばには、理解しようとしている人がいるんだよ」そう言ってくれる人が隣にいることは、どんな薬よりも安心材料となることがあるのだと知れた今だからこそ。

ナイーブな私に勇気をください

  1. tomo より:

    私も20年以上パニック障害と闘っています。
    普段は抗不安薬でおさまってはいるのですが、映画館やコンサート会場などの通路側の席意外では無理ですし、体調が悪いと電車や車なども苦手になります。
    手術したら治るという病気なら良かったのに…と何度も思いましたが、今は周りの人に言うようにしています。
    そうする事で、何かあっても逃げてもいいんだって思うだけで安心するので。
    頑張らない!が1番です。

    • 読んでくださり、ありがとうございます。
      20年以上パニック障害と向き合っていることを知り、あの辛さを何十年にも渡り経験されているのは、言葉に表せないほどの辛さがあると思います。
      こうして文章を書いたことで、同じ病と向き合いながら生活をされている方がいることを知れたのも、ワタシにとっても彼にとっても励みになったような気がします。
      よく彼は「パニックになると、途端に猛烈な孤独感に襲われる」と言うことがありました。
      目に見えない病気だからこそ、どれだけ辛くても、助けて欲しくても理解されない苦しみがあったのではないかと思います。こうして同じ症状に悩んでいる方がいることに気づけただけでも、私たちにとって大きな勇気となりました。
      コメントをくださり、そして言葉をかけてくださり本当にありがとうございました。
      「頑張らない」その言葉に、随分と彼も救われたようです。

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