ワタシが見つけた働くこと

オリエンタル納言日常日記

2023年10月8日、あるエッセイの授賞式に参加してきました。

人生で初めて呼ばれた式典に、数日前から緊張と言葉では表現できないような気持ちになっていたのを、つい昨日のことのように思い出します。

授賞式は『若者を考えるつどい』というタイトルのもと、あらゆる職種や年齢の方々が、それぞれの想いの中でエッセイを書かれていたのです。

中には高校生の姿もありました。

スーツに身を包んでいた人、制服や綺麗なワンピースを着ていた人もいました。

その中でワタシと夫は、少し異質な雰囲気を放っていたのかもしれません。

一度式を抜け出して

一番初めは授賞式でした。

優秀な賞に選ばれた人たちの名前が呼び出されていく姿を、ワタシは遠くから見ていました。

文章の中でも仕事の中で起こった困難と立ち向かい、そしてこれからをどう生かしていくのか、働くこととどう向き合っていくのかなども綴られていました。

その姿を見て、ワタシの手はかすかに震えていたんです。

なぜなら、ワタシは働く社会の中から離脱していたから。

少し前のワタシなら、保育士として働いていたから、もっと凛として賞を受け取れていたのかもしれない。

けれども今のワタシは違ったのです。

仕事を辞めて、新たな人生の選択をしようとしているところに立っていたから。

キラキラと輝く人たちと、正反対のわたし。

まるで社会の縮図を見ているようで、いても立ってもいられなくなり、一度席を外してしまったのです。

違和感に気づいて

いち早くワタシの異変に気づいた夫は、何も言わずに隣を歩きながら、背中を摩り続けてくれました。

人のいないところまでやってきて、大きな窓を開けると、そこには生活感が漂う団地やマンションなどが視界に入り込んできたんです。

大きく息を吸い込むと、なんだか懐かしい香りがしてきました。

「昔僕も同じことを考えた時期があったよ。大学生のころ、周りは就活のために色々としていたけれど、僕はなんだかそれが合わなかったんだ。いきなり社会の中で生きなければいけない、そんなことを押し付けられた気がして。だから納言ちゃんが感じている違和感、僕もなんとなくわかる気がするよ」

それだけを言って、私たちは無言のまま外を見つめ続けていました。

ディスカッションの中で・・・

授賞式が終わると、第二部ではディスカッションというものが行われました。

年齢も職種も違う人たちが、それぞれの体験や想いを若い世代に伝えながら、働くことを考えていくという名目でした。

高校生や大学生、社会人になりたての人や管理職を任されている人など、ワタシ含めて約6名ほどのグループの中で話をしました。

けれどもやっぱり、「今後仕事をしていく中で、どうやって社会と向き合い、職場と調和していくか」なんてことが焦点になっていました。

仕事が全てだと思ってしまうような会の中で、ワタシは勇気を出して切り出したんです。

「ワタシはずっと好きだった保育士を辞めました。今までの人生の中では、仕事と趣味しかなかったんです。けれども、仕事を辞めてから初めて気づいたことがあるんです。働かなければ生きてはいけない。けれども、人生は仕事と趣味だけではないということに。大切なのは、自分の気持ちを大切にすることだと思うんです。理由もなく働くことを拒絶することは、間違っているけれど、自分の心に嘘をついてまで働く必要はないと思います」と。

そして、ある人は「好きなことを仕事にしたいけれど、向いていることが別だから迷っている」と言いました。

「嫌いでもやっていくうちに、好きなことに変わっていく事もある」

「やり続ければ、苦手なこともできるようになっていく事もある」などの意見も出ていました。

グループの中にいた高校生の子は、メモを一生懸命取りながら、まだ先の働くことへの色々な感情が巡り、少しだけ困惑しているようでした。

ワタシは話を聞きながら、色々なことを考え、高校生の子の目を見てこう伝えました。

「ワクワクすることだったり、『なんだろう』って興味や関心が湧いたものを深掘りしていくと、少しずつ道は開けて新たな目標だったり、好きなことに繋がったりすると思うんです。『好き、嫌い』『得意、不得意』の二択で考えないで、今自分が興味を持っているものを軸に、色々なことに挑戦したり試してみると、意外と好きなものは近くにやってくるかもしれません」そう伝えました。

それはかつて、子どもたちにワタシが伝えてきた言葉でもありました。

「楽しいなって思ったり、心がワクワクすることをやってごらん。嫌いなことを頑張ってするよりも、楽しいと思えることを続けてみると、色々なことが楽しくなってやりたくなるんだよ。途中でやめてもいいし、別のワクワクすることをしたっていい。一番大切なことは、自分の気持ちに嘘をつかないことだから」と。

授賞式に出て気づいたこと

今回の授賞式では、社会で働くことへの縮図が見えてきたような気がしました。

苦手な事をやったり、社会に貢献するにはどうしたらいいのか、そんな風な言葉が、他のグループのディスカッション発表でも出ていました。

しかし、ワタシは思うのです。

もっと柔軟に考えてもいいんじゃないかって。

二択しかないから、ほとんどの人は「好きでもないことを、無理にでも好きになろうと経験と実績を積んで心を誤魔化しているような気がする」と。

好きなことを仕事にするのではなく、興味があることをやり進めたうちに、いつの間にか好きになっていったが、本来あるべき姿なのだと感じました。

そして以前働いていた頃もそうでしたが、誰もが平均点を求められていて、皆ある程度はできる範囲は同じく足並みを揃えなければいけない、そんな目には見えない圧力のようなものを感じることが多くありました。

けれども本当に大切なことは、苦手なことを無理にでも平均点に近づけるのではなく、それぞれが苦手な部分と得意な部分を補いながら助け合うことだと思うのです。

苦手なことを苦手だと周りに言える環境と、「分からない時や困ったときには頼ってもいいんだ」と思えるような関係性を築くことが何よりも大切なことだと思うから。

仕事をしていないワタシが言うのも間違っているかもしれませんが、もっと自由に、もっと色々なことを忖度なしで発言できるような環境が、今の働く世の中には一番大切なことだと感じました。

そしてこれから未来を歩んでいく若者たちが、自分の気持ちに嘘をつく必要がなく、興味が持てたことを色々な場面で、発揮できる環境づくりが大切だと心から感じました。

好き嫌い」「出来る出来ない」「得意不得意の二択だけではなく、色々な考え方や想いを取りいれられる社会になることを願いながら・・・。

 

 

ナイーブな私に勇気をください

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