全ての保育士さんへ

保育士時代の体験談・過去のトラウマ

保育士をしている頃からずっと思っていたことがありました。

その思いは世間から感じることもあれば、同じ職場の人間から感じる時もありました。

「どうして保育士の立場は弱く、蔑ろにされてしまうのだろう」って。

国家資格を取り、子どもたちの成長を守るプロとして、誇りを持って仕事をしていたはずなのに、気がつけば雑用係になったり、召使のように扱われたりすることが当たり前になっていました。

どれだけ子どもたちに好かれていても、嫌な雑用を笑顔でやっていても、全てを完璧にこなせない人は、「無能な人」として見下されている現状を何度も目にしてきました。

そんな異常な環境に疑問を持っていても、口にすることは出来ませんでした。

たった一つの支配下の中で、正しいことを言うのは求められていません。ただ従順に従い、求められている以上のパフォーマンスを安月給の中でやらなければなりませんでした。

常に「やりがい」という言葉を盾にされながら・・・。

湧き上がる疑問と不信感

そんな環境を何年も続けていたから私は病気になったし、大好きな保育士を最悪の形で辞めざるを得ませんでした。

子どもの個性に合わせて保育をしようと言う人たちが、大人の個性には合わせず少しでも新しいことをしようとすると、全否定をする環境が理解できませんでした。

人には得意なことと苦手なことがあるのに、わざと苦手なことを押し付けて嫌がらせのように失敗を重ねさせる理由が分かりませんでした。

子育てをしていないからといって、保育を何も理解していないと決めつけられる意味が分かりませんでした。

そして何より、保育士たちの「子どものために」という善意に付け込んで、搾取していく環境が耐えられませんでした。

私の頭の中では、いつも「どうして?」「何でもっと思いやりを持てないの?」そればかりが浮かんでは無理やり消す作業を繰り返していました。

そしてどれだけ間違ったことが行われていても、誰1人声を上げることはできませんでした。

そして私も、傍観者の1人としてただ黙って見ることしか出来ませんでした。

本当に大切なものは?

保育の現場には、目には見えないカーストのようなものが存在していました。

園にとって一番大切なのは、子どもですか?

いいえ、違います。

保護者の要望と、園で使う経費です。

経費は子どもの玩具を買ったりするものではなく、いかに園の印象をよくするかのために使われることが大半でした。

その次に子ども、そして最後に私たち保育士が存在していました。

全ての園がそうではないと思いますが、少なくとも私がいた場所や、他の保育士の友人たちに聞くと、一番大事なのは子どもでもなく、働いている職員でもないことが明らかでした。

私たちは、何でも言うことを聞いてくれる都合のいいお手伝いさんでしかなかったのです。

そんな実態が色々なところで起きているから、潜在保育士や数年で辞めてしまう人が多いのだと思います。

子どもたちと関わることが大変なんじゃない、保育士が保育士として扱われない現状が、いつまでも改善されない根深い問題が、どんどん保育士不足を加速させているのです。

大きな夢の第一歩を

私には大きな夢があります。

それは文章を書くようになり、ブログが始まってから新たな夢を持つようになりました。そしてその思いは、日々強さを増しているように感じています。

SNSが発達している今、子どもの接し方などは色々な方が発信しています。

しかし、子育てに対しての話は沢山あっても、保育士さんに対する心のケアだったり、根深い問題についての話は、とても少なく感じます。

私自身も心を病んで辞めた人間です。

けれども、世の中には私と同じ経験をした保育士が大勢いるのです。

子どもが大好きで、保育という仕事が大好きなのに、辞めざるを得ない環境にいる保育士が大勢いるのです。

そこにどうして気づいてくれないのか、どうして声を上げることが出来ないのか・・・。

それはきっと、現役の保育士にはとても難しいことだから。

子どもたちの顔を思い浮かべ、関わってくれる保護者の方の顔を思い浮かべるたびに、自分の辛い気持ちをグッと押し殺して、仕事をするしか方法がないからなのです。

そして、私もその1人でした。

もしも、現役の保育士として今も働いていたら、こんなふうに声を上げて心の内を話すことは絶対しなかったでしょう。

だからこそ今私にできることは、保育士時代の辛い経験や体験、そして思いを代弁することで、たった1人でも現役で働いている保育士の方々に、寄り添いたいのです。

きっと今も、気持ちを伝えられずに苦しんでいる保育士がいるはずだから。

私にしか出来ないやり方で

保育士だって人間なんです。

何でも言うことを聞いてくれる存在なんかじゃない。

どれだけ子どもが好きでも、どれだけ保育士を続けたくても出来ない環境が沢山あります。そして今もなお、古い考えが根強く残っている場所や、様々な人間関係に苦しみながら、笑顔を作り仕事をしている人も沢山いるでしょう。

子どもたちのために私たちがいる、もちろん分かります。

仕事だから嫌なこともしなければならない、それも分かります。

けれど、残業代も出ずにタダ働きをすることは、正しいですか?

自腹で保育に必要なものを用意することは、正しいですか?

休憩も取れずに、たった五分程度の給食を食べる時間は、正しいですか?

「子どものためだから」と言って、保育に関係ないことまでさせることは、正しいことですか?

女性社会だからと片づけられるのは、間違っています。

保育士だから「奉仕の心で」なんて、都合のいいように言うのも間違っています。

だからこそ保育士のことを発信していくことで、少しずつ理解してもらえるかもしれない。

どこかで苦しんでいる保育士さんを救うことが出来るかもしれない、そう信じています。

いつか保育士さんたちの心の窓口を作ることで、子どもたちの笑顔と成長を守る人たちの心を守れる、そんな場所を作ることが出来たら、きっと保育士不足も少しずつ解消されていくと思うのです。

保育士の皆様へ

このエッセイを読んでくださる方のなかに、きっと現役で保育士をしている人、保育士を引退した人、これから保育士を目指している人、様々な方がいると思います。

ぜひこのブログを通して、辛い経験や悲しかったこと、悩みや不安、相談など何でもいいので教えてください。

きっと、仕事上では言えない悩みがあると思います。

私では力不足かもしれませんが少しでも話を聞き、力になれたらこれほど嬉しいことはありません。

いつか、保育士さんたちが本当の意味で楽しみながら笑顔で子どもたちと関わることができるようになるためにも、そのお手伝いをさせてください。

保育士さんの笑顔が、本当の意味で子どもたちの健やかな成長につながるはずだから。

ナイーブな私に勇気をください

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