今回のリクエスト企画の中で、「ましゅぴについて」というお題をいただきました。
過去にもましゅぴが登場した回は沢山あったのですが、彼にフィーチャーして書いたことは少ないかもしれません。
そしてこのお題をいただいた時、せっかくならいつもと違うテイストで書いてみようと思いつきました。
こんなに文章で想いを綴っているのに、ましゅぴ相手になるとどうも照れがあるのか、恥ずかしくて直接「ありがとう」とか「大好きだよ」と伝えることは少ないんです。
その代わり口癖のように「ましゅぴ大嫌い」と言って反応を楽しみ、困らせるのが私の日常的なやり取りの1つになっています。
ましゅぴは普段「納言ちゃん大好きだよ!納言ちゃんは?」と聞いてくるのですが、その度に「普通」と答えるか「嫌い」と答えてしまいます。
それを知っているので、「普通」と答えた時には「よかった普通は好きの裏返しだもんね」と言い、「嫌い」というと「ダメだよ・・・。そんなこと言ったら」としょげてきます。笑
本当は大切に思っているし、彼のおかげで今もワタシがいることには間違いありません。
しかし直接伝えることが苦手なワタシは、この機会を使って、いつもとは違った手紙という形でエッセイを書いてみようと思います。
最後までお付き合いしていただけたら嬉しいです。
それでは、スタートです。
ましゅぴへ
出会ってからもうすぐ2年が経とうとしています。
初めて直接会った時のこと、覚えていますか?
変なマスクをつけて思い切り手を振るあなたの姿を少しだけ恥ずかしく思いながら、どこか懐かしく、そして何度か会ったことのあるような感覚に襲われたことを昨日のことに思い出すんです。
「お待たせ」と言ってはにかんだ顔は、マスク越しでも伝わるくらいでした。
この時はまだ伝えていなかったけれど、あの日ワタシは確信したんです。
「きっとこの人と、生涯を共にするんだろうな」って。
その言葉通り、数ヶ月後にはプロポーズをされて、籍を入れて、晴れて夫婦になりますね。
初めてのデートの時、ワタシは緊張していたのか、普段なら間違えないはずの電車を間違えて、急行で行くはずが普通電車に乗ってしまい、普段の倍以上に時間がかかってしまいました。
途中で(これって普通電車かも知れない)と気づいた時にはすでに遅く、心の底から大恥をかいたワタシに、怒ることも責めることもなく、「僕は電車に揺られる時間が好きなんだ。いつもよりも長い時間ゆったりと乗ることができて嬉しかったよ」と言ってくれましたね。
あの言葉で随分と救われたんです。
優しさの意味を
当時のワタシは仕事に恋愛に全てが上手くいっていませんでした。今までにないくらい痩せ細り、ご飯もまともに食べることが出来なかった。心の病を抱えている人なんかよりも、もっといい人がいるはずなのに、「君は僕自身を見ようとしてくれたんだ」と言って、付き合うことを選んでくれましたね。
数時間でも外に出ることがしんどいワタシに、「無理しなくていいからね」と荷物を持ってくれて、ご飯も残してしまう申し訳なさを感じていることを察し、「ほんの少しでいいから、無理しないでね」と言ってくれました。
全てワタシのペースに合わせて心遣いをしてくれたこと、そして見返りなんて求めないで寄り添ってくれたこと、本当に感謝の気持ちいっぱいでした。
しかし、仕事で沢山傷ついて、怒りのやり場がなかったワタシは、ことあるごとに喧嘩をふっかけてあなたを困らせてしまいました。
あなたの心をえぐるような酷い言葉も沢山浴びせてしまいました。
自分自身の気持ちを優先して、どうしていいのかも分からず、まるでロボットみたいに淡々と頭の中に流れてくる酷い言葉を羅列し続けていたんです。
最初の時は、「どうしてそんなことを言うの・・・」と言われ、それが余計に腹を立ててしまう原因になっていました。
そんなある日、小さな喧嘩が発端となり、幼い頃からの癖でワタシがクローゼットに逃げ込んでしまったことがありましたね。
心の中で(こんなことをしても何にもならない。もういっそのこと、嫌いになってくれたら楽なのに)と思ったんです。
でもあなたは違いました。
コンコンと扉をノックして、そのまま中へ入ってきてくれました。
真っ暗な部屋で二人で体操座りをしながら向き合って、沈黙の中を数分間過ごしたのを覚えていますか?
そして一言、「君の本当の姿を見れて良かった。クローゼットに僕も入れてくれてありがとう。きっと僕に対しての怒っているというよりも、今までのことや、行き場のない想いが怒りとなって出ているんだよね。大丈夫だよ。どんなことがあっても、過去の人たちみたいに見捨てたり、傷つけたりなんてしないから」そう言って、ひたすら背中をさすり続けてくれました。
本当に嬉しかった。
そして初めて泣きました。
自分でもどうしようもない感情の理由を知ることができたような気がして。
ワタシはあなたに怒っているわけではなかったんだって知れたこと。
今までされてきた酷いことに重ね合わせて怒りをぶつけていたこと。
それに気づくことができて、ホッとしたんでしょう。
その真っ直ぐで曇りのない優しさに、心の底から救われたような気がしました。
辛い日々に寄り添って
あのことがきっかけとなり、お互いに本格的に結婚を意識するようになりました。
けれども、ワタシの体調はどんどん悪くなり、仕事以外ではどこかへ出かけることもままならないくらい、体力が落ちていました。
それでも嫌な顔をせずに会いにきてくれたり、ワタシの好きなものを買って二人で食べた日々は、とても幸せでした。
しかし、限界がすぐそこまできた時、ワタシは仕事を休職せざるを得なくなり、それと同時に同棲生活も始まりましたね。
新しい環境に職を失いかけている現実、何より子どもたちに会えないことが苦しくて仕方がなかった。
仕事から疲れて帰ってくるあなたに、「おかえり」と出迎えてあげることができませんでした。
「いつもありがとう」と言ってご飯を用意することもできませんでした。
誰もが当たり前にやっていることが、できませんでした。
それもとても負担で、申し訳なさと不甲斐なさでいっぱいでした。
疲れて帰ってきているはずなのに、「今日はどうだった?」と、あなたは聞いてくれました。
次の日も仕事なのに、夜が怖くて泣きそうになっているワタシに、歌を歌ってくれたり、楽しくなるような話をしてくれました。
時には絵本なんかも読んでくれたこともありましたね。
それでも不安は拭いきれず、どれだけ時間がかかってもワタシが寝るまで起きて、背中をさすり続けてくれました。
しかし、ワタシはあなたを裏切るようなことをしてしまったんです。
あの日の後悔を
同棲して3ヶ月後の9月に入籍をしました。
世間から見たら幸せの絶頂だった。
でも、私たちの生活は不安定そのものでした。
頭の中では常に悪いことばかりが浮かんで、あなたへの申し訳なさで支配されていました。
晴れて夫婦となった1ヶ月後、ワタシはあなたの目を盗んで命を絶とうとしました。
もう限界だったんです。
あなたの優しさに応えることも、そして何一つ夫婦として支えてあげられていないことも。
誰かと比べてしまわないようにと考えても、思い浮かぶのは、「普通の夫婦」という関係性ばかりでした。
今のワタシは精神異常をきたし、何一つ支えてあげることができない。
それが一番辛かったんです。
だからいっそのこと消えてしまえば、あなたは新しい人生をやり直し、もっと素敵な人と出会って、幸せになる必要があると考えました。
そのためには、ワタシという存在は邪魔でしかないんです。
だから消えてしまおうと考えました。
しかし結果的に、あなたを深く傷つけ、声を出して泣かせてしまいましたね。
何度も「お願いだから、いなくならないで。僕を一人にしないで。初めてなんだ。僕のことをちゃんと見てくれた人は、誰もいなかったんだよ。僕のことを見ようとした人なんて。君がいなくなったら、僕は、僕はまた一人になってしまう。だからお願い」そうやって、何度も何度も頭を下げられ、涙を流していました。
たった一言だけ、「ごめんね」と言い、ワタシは持っていたベルトをあなたに渡しました。
この出来事があったすぐに、保育士を辞めました。
あなたに出会って
今ワタシには夢がある。
それはあなたが見つけてくれた夢でもあるんです。保育士を辞めてしまい、抜け殻のような生活のなかで、やり続けていたエッセイをあなたは毎回褒めてくれました。
どれだけ忙しくても、エッセイを読んで感想を伝えてくれました。
時にはわざわざコメント欄に別の名前を使って感想を書いてくれたり、DMで返事をしてくれることもありました。
夫としてのコメントではなく、一人の読者としての言葉をかけてくれた。
どれだけ「ワタシには才能がないんだ」と落ち込んでいても、「君には才能があるよ。文章を一番読んでいる僕だから、言えることなんだ。大丈夫、やり続けて!君と出会ってからずっと言ってるんだ。君は面白い人だって。きっとこれからの人生は面白くなるって。だから君と人生を歩みたいと思ったんだから」と。
言葉で伝えていないから、きっと知らないよね?
その言葉は、今までのどんな言葉よりも勇気を与えてくれたんだって。
今まで何者にもなれなかったワタシが、初めて何かになれるって思えたことも。
いつもあなたは、ワタシのことを常に考えて、ワタシの夢を応援してくれている。
でもね、その気持ちはワタシも一緒なんだ。
付き合ってすぐに、一緒に歌のオーディションへ向かった日、何かが始まる予感がしてワクワクしたこと。
あなたの歌声を聴いて、初めて涙を流したこと。
こんなに素晴らしい才能を持っている人がいることを知り、大きな勇気を与えてもらったんだ。
ステージの上であなたが歌う姿を一度でいいから見てみたかった。
どんなことでもいいから、あなたの才能が認められて、嬉しそうに笑う顔が見たかった。
そうやってワタシも、あなたのことを想い続けています。
そして今、あなたにも新たな夢が見つかり、色々なことにチャレンジし始めましたね。
上手くいかない時もあるけれど、それでも諦めずに何度も立ち上がる姿を1番近くで見つめています。
そして自分自身と重ねながら、「ワタシも頑張ろう」と思っています。
あなたは何度も言いました。
「才能の種は誰にだってある。けれど本当の才能は、やり続けることなんだ。どれだけ挫けそうになっても立ち上がって、信じ続けられた人に才能の花は開花するんだよ。君にはその力があるって、僕は信じているんだ」と。
それはあなたにだって言えることなんです。
大きな挫折を経験して一度は諦め、そして見つけた別の夢。
まさに今、自分の人生を走り出した姿に、才能の花が咲く予感がしています。
どうか諦めないで続けてください。
口にはあまり出さない不器用者だけど、あなたはきっと何にでもなれる力を持っている。それを一番知っているのも、ワタシだから。
最後に
あなたと出会って知らなかったことや見えなかった景色を沢山見せてもらいました。
常に一定の速度で走ることよりも、立ち止まって視点を変えたり、息を整えて自分のペースで歩き出す大切さを教えてくれたのも、あなたでした。
どれだけ卑屈になって、どれだけ傷ついてきたか、あなたには散々話をしてきました。
そして絡まりすぎた糸を一つひとつ丁寧に解いてくれたのが、あなたでした。
あなたと出会わなければ、ワタシは結婚という選択も、仕事を辞めるという選択もしなかったでしょう。
そしてどこかで命の糸がプツリと切れて、後悔を残したまま人生を終えていたのかもしれません。
ワタシに生きる希望を与えてくれて、ありがとう。
人を愛する気持ちを教えてくれて、ありがとう。
夢を追いかける楽しさに気づかせてくれて、ありがとう。
これからの人生もきっと大変なことばかりで、時にはぶつかったり、昔みたいにクローゼットに入ったりするかもしれない。
そんな時はまた、背中をさすりながら「大丈夫だよ」と言ってもらえませんか。
最後に、この広い世界の中でワタシを見つけてくれて本当にありがとう。
そして沢山の愛をありがとう。
これからの人生もあなたと共に歩んでいけるのなら、ワタシはもう少しだけ頑張ってみようと思います。
ワタシの人生の中での一番の幸福は、あなたに出会えたことでしょう。
心から感謝を、そして誰よりもあなたを愛しています。
ナイーブな私に勇気をください
感謝を込めて···を読んで
愛が深まれば深まるほど、パートナーを悲しませたくないですね。
パートナーを悲しませないためにも、やるべきことがあると痛感しました。
自分のためであるのに、おろそかにしていること、あと回しにしていること、だれでもありそうですね。
そんな思いを抱かせるエッセイでした。ありがとうございます。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
お互いを知るにつれて、思いやるにつれて、相手を悲しませたり、傷つけてしまわないように気をつけるものの、どこかで気が抜けて知らず知らずのうちに悲しませてしまうこともあります。
普段から言葉で伝えずにいたので、今回は手紙という形で想いを伝えてみました。
本当に大切な人ほど見失いがちになってしまう。
だからこそ、少しでも良いから気持ちを伝えることが大切なのかもしれしれません。