まず初めに
今回もInstagramから、皆さんに「読んでみたい元彼シリーズ」のアンケートを取らさせていただきました。
個人的にはタワーマンションに連れてかれた話が圧勝するかなと思っていたら、まさかのダークホース登場に、驚きを隠せませんでした(笑)。
今回も過去の体験談をノンフィクションでお届けすると共に、何かしらの教訓が得られることを密かに願っています。
アンケートに答えてくださったフォロワーの皆さん、本当にありがとございました。そしてブログを読んでくださる皆さん、いつも本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです!
マッチングアプリからの出会い
実はカリスマすぎた男との出会いは、山と別れたすぐのことでした。
とにかく心を満たしたくて、誰でもいいから愛して欲しくて、気がついたらお馴染みのマッチングアプリをインストールしていました。
友人たちには「あんた本当に懲りないね」とか「一旦恋愛は、お休みしたら?」と言われましたが、心底歪んでいた私は(家庭を持ったり、彼氏がいたりする人たちに孤独の辛さは分からないんだ!)と忠告を無視して、またもや地獄の門を盛大に叩きまくっていたのです。
私は早速、数年前の全盛期に盛れた写真を探し出し、プロフィールにアップしました。
男性が好きそうな写真は感覚的に分かっていたので、迷うことなく2、3枚用意して、プロフィール欄も書きすぎず書かなさすぎずを意識しました。
数週間前に大失恋したとは思えないほどの行動力と、切り替えの速さに驚いていたけれど、とにかく一人になることが怖かったんだと思います。
その中で出会ったのが、このカリスマすぎる男(通称 カリスマ)でした。
高身長の爽やかイケメン
今まで付き合ってきた元彼とは違う、爽やかでTHE好青年のような顔立ちをしていました。歴代の中でも一番整った顔をしていたと思います。
今までの人生で、関わることのなかったタイプだったので、連絡が来た時には思わず舞い上がってしまいました。
爽やかな顔、すらっと伸びた身長、そしてお洒落な服装。
写真を見ただけでも、これほどまでに素敵な人がどうしてマッチングアプリをやっているのか、疑問で仕方がありませんでした。
けれどそんなことは、どうでもいいのです。
あれだけ「山と私どっちを選ぶの?」と言っていた奴は、もうそこにはいません。新しい恋に向けて、未来の結婚相手を探すために向けて、もうすでにクラウチングスタートをしようとしていたのだから。
カリスマとすぐにLINEを交換し、やり取りをしていきました。
服の話をしたり、音楽の話をしたり、時にはアニメや映画の話もしました。少しずつ打ち解けていくようになると、お互いにもっともっと知りたくなっていきました。
LINEは毎日の習慣になり、時間が合えば電話もするようになっていきました。
会ったこともないけれど、気持ちは完全にカリスマに向かって走り出していたのです。
新型コロナをきっかけに
その後は面白いくらいにトントン拍子に話が進んでいき、デートを重ねて晴れて私は、爽やかイケメンのカリスマと交際をスタートさせました。
付き合い初めの頃は、お互いに気を遣いながらも尊重し合いながら、想い合って過ごすことができていました。
デートに行けば私の服装を「素敵だね」と、まるで紳士のように褒めてくれる。道路側をさりげに歩き、不意に微笑んだ時の八重歯さえ愛おしく思えてくる。
そう、まさに私はカリスマに夢中だったのです。
付き合って1ヶ月までは・・・。
交際してから1ヶ月が経とうとした時、新型コロナの猛威が凄まじくなり始め、全ての自由を奪っていく勢いでした。給料やボーナスは減らされていき、気軽に外食も出来ない状態でした。
カリスマの会社も例外ではなく、不安定な生活を強いられていたそうです。
すると、少しずつカリスマの言葉に違和感を感じるようになっていきました。
それはマイナス思考になっていくとか、不安でうつ状態になるというわけではなく、私も含めて全ての人を対象に文句を言ったり、自分の価値観だけで相手を否定するような言葉を発する機会が増えていきました。
日中はマスク着用であれば外食ができたので、この日はデートがてら昼食を食べに行くことにしました。
すると目の前から、若いカップルが楽しそうに手を繋いで歩いてきたのです。
「ねえ、あれ見て。右の女は70点くらいじゃない?左の男は50点。正直俺だったら、一緒に歩いて恥ずかしいレベルだね」
「そうかな。そんなことなかったと思うけど・・・」
「いやいや、偽善者ぶらないで?あとさ、納言ちゃんも俺の彼女って自覚持ってね。見た目ってすごく大事だから。俺の彼女に相応しくないと・・・ねっ?」
その後も、誰かとすれ違うたびに点数をつけていました。
一緒に歩いていた私は、盲目モードの最中だったので「自分も気をつけよう」と、カリスマの言葉を鵜呑みにする形で納得をしてしまいました。
それからでしょうか。
ことあるごとに過去の武勇伝を語り、どれだけの女性にモテてきたか、どれだけ自分は必要とされてきたか、そして自分の周りには優秀な人しか集まらないなどの話が、永遠と繰り返されるようになったのは。
その度に「君はラッキーだよ。俺と付き合えて」なんて言われることもありました。冗談でもなんでもなく、カリスマは本気でそう思っていたのだと思います。
上下関係ができた日
付き合ってから2ヶ月弱が経とうとしていた頃、決定的な事件が起きてしまいました。
ある日カリスマは、昔の友人たちと東京に行く機会がありました。久しぶりに会えるということもあり、出かける前は嬉しそうに思い出を振り返りながら、話してくれました。
東京旅行を純粋に楽しんでほしい、そんな気持ちで私は送り出しました。
カリスマが昔の友人たちといる間、頻繁に連絡が来ることはありませんでしたが、帰り道に連絡をくれた後、長い時間をかけて帰宅したカリスマからすぐに電話がかかってきたのです。
私は嬉しさのあまり、深夜になっていることも忘れて電話に出ました。
「どうだった?東京旅行。久しぶりに友だちに会えたから嬉しかったよね!」
「いや、別に大したことないかなっていうか、結婚するとか、給料いくらもらってるとか、そんな話ばっかで正直つまらなかったよ。大したこともないのにさ、なんであそこまで言えるのか不思議だよね」
「お友だち結婚するの?嬉しいことじゃん」
「いやいや、正直結婚の何がいいか分からないよね。あんなの暇な奴がすることだよ。それにさ、過去の話するやつって好きじゃないのよね。将来に目を背けてる感じが。いつまで過去に縛られてるんだって思う。昔の話とかもしたけど、結論行かなくてもよかったわ」
これはあくまで私の考察になりますが、カリスマの会社もコロナの影響を受けていたので、きっと気持ちに余裕がなかったんだと思います。仕事がなくなるかもしれない不安、続々と結婚していく友人たち、自分が出来ないことをしている彼らが、プライド的に許せなかったのかもしれません。
誰しも一度は、心に余裕がなくて人の幸せを素直に喜べないことがあるように、カリスマもその真っ只中にいたのではないでしょうか。
ただ状況を考慮して100歩譲ったとしても、電話をしてから2時間が過ぎたあたりで、永遠に続く文句と謎の発言に私自身もうんざりし始めていました。
日中ならまだ我慢できたかもしれない、けれども一向に終わらない深夜の長電話は、聞く方もうとっくに限界を迎えていたのです。
「ねえ、納言ちゃん。ちゃんと話聞いてるの?適当に聞いてないよね?」
「いや・・・。なんて言えばいいか分からなくて」
「もういいよ!俺の話をちゃんと聞いてくれないなら、べつにいつだって別れるから。彼女なら最後まで話聞けよな。そういうところだよ。もういいや、気分悪いし電話切るね」
ブチっ!!
とても理不尽に切られた電話にホッとした私と、後から怒りが沸々と湧き出る私の両方が存在していました。
伝家の宝刀「別れるわ」という言葉を、私は後何回聞けばいいのだろうかとうんざりしながらも、まだ好きな気持ちはあったので、「もう少し、寄り添って話を聞けばよかったよね。ごめんね」とだけ送り、モヤモヤしたまま眠りについたのです。
次の日LINEを見ると、「気をつけてね。そういうところだよ!相手の気持ち考えられないとか、人としてどうかと思うから。まぁ、謝ってくれたから今回だけ許すよ」と書かれていました。
この時ばかりは「何様じゃい!!!!!!!!!」と思わずスマホを放り投げて、半日連絡を無視したのがせめてもの抵抗でした。
この電話事件以降、カリスマはさらにカリスマ道を鰻登りで駆け上がっていくのです。
<次回予告>
ナイーブな私に勇気をください
過去の武勇伝を語るカリスマが、他人の昔話を許せないって、皮肉な話ですね。
現実に満足していない人に起きる、矛盾関係なく他人を蹴散らすやつかなとか、
おっしゃる通り、当時は尚更新型コロナの混乱もあったんだろうなと感じつつ、
自分もそうなっていないかとか考えされられてたら、
「上下関係ができた日」って小見出しにぶっ倒れました。笑
なんて衝撃的なタイトル!笑笑
それでも、お相手に憎しみは感じさせない
ユーモアな文体がとても魅力的で後編楽しみになっちゃいます!
早速読んでくださりありがとうございます。
「俺、過去の話するやつ嫌いなんだよね」と言っていたカリスマが、一番過去の話をしていたことに付き合っているときは気づけずに、別れた後で妙に悔しい思いをした覚えがあります(笑)
新型コロナの影響で収入面で不安があったことで、少なからず精神的なダメージがあったのかなと、今思えばカリスマ自身もどうしていいのか分からなくなっていたのかもしれません。
付き合っている当時は本当に辛かったけれど、そのおかげで文章を書けているので過去に感謝ですね(笑)
後半、そして番外編と続きますのでぜひ読んでもらえたら嬉しいです!
素敵な感想を頂けたことそして、いつもエッセイを読んでくださり、本当にありがとうございます。