本格的にインスタグラムを始めて、数ヶ月が経ちました。
始めたばかりの頃は、右も左も分からず、見ず知らずの人たちとの関わりも臆病になっていました。
ただエッセイを色々な人に知ってもらうためには、身近な人だけでは広がることはない。だから自分から進んでいく必要があると思い、SNSを始め試行錯誤を繰り返していました。
そんな時に出会った一人のフォロワーさんとの話を、今回は書いていこうと思います。
DMからの出会い
元々相互フォローをしている状態で、彼女がどんな投稿をしていたのかを見る機会はありました。
顔を載せているのではなく、自分で描いた線画がUPされており、投稿が気になった私は過去をさかのぼり、彼女が描いた全ての作品に目を通したのです。
白黒の投稿には彼女の想いが、こだわりが、そして繊細さが沢山詰まっていました。
写真のように絵には、一つひとつの表情がありました。それは人だけではありません。人だろうと物だろうと細部まで細かく表現されていることに感動すら覚えたほどです。
いつしか彼女の投稿を見ることが、私の日課になっていました。
そんなある日、彼女からDMが届いたのです。
「いつも投稿を見させていただいていました。ぜひイラストを描かせてもらえないでしょうか」と。
私は嬉しさのあまり、すぐに返事を返しました。
今まではそんなやり取りすら臆病になっていた私にとって、一歩を踏み出した瞬間でもありました。
同じ表現者として面白いことになるかもしれない、新たな発見ができるかもしれない、そんな期待がどんどん膨らんでいきました。
描かれた絵には
数日後に彼女からDMが届きました。
私の投稿から数枚を選び、描いたものを送ってくれました。自分の写真が誰かの手によって形を変えて、新たな作品として生み出されたことに、ただただ感動しかありませんでした。
私という存在を尊重しながらさらに素晴らしい作品に変えてくれたことが、何より嬉しかったのです。
細かい部分を捉えながら、その人が持っている絶妙な輪郭を描写する。
その表現力を通して、ほんの少しだけ彼女の心に触れられた気がしました。
小さい社会の中で生きてきた私にとって、世界はこんなに広いんだ、色々な形で表現をしている人がいることを知れたのも、とても大きな経験となりました。
互いの共通点を抱きしめて
最初は絵のことでやり取りをしていた私たちですが、徐々に違う話をするようにもなりました。
すると、私たち二人には共通点があったのです。
元々私は、心と体の違和感について誰にも言えずに悩んできた過去がありました。女性なのか男性なのかと問われること、性別という枠組みに勝手にはめられることが違和感でしかありませんでした。
見た目のことでいじめられたり、大人になっても見た目で男とか女とかを判断しようとする人たちに、指をさされることもありました。
常に抱えていた生きづらさを彼女も感じていたのだと、この時初めて知りました。
誰かに迷惑をかけているわけでもなく、自分のスタイルを貫いているだけなのに、見ず知らずの人の言葉は、容赦無く私たちの心を土足で踏み荒らしていきました。
だからこそ、分かり合える部分があったのかも知れません。
DMでのやり取りの中で、もしも学生時代に出会っていたら、きっと互いに良き理解者になれたと感じ合えたことで、少しだけ肩の荷がおりたような気がしたんです。
私は一人じゃなかったんだ、同じ気持ちを同じ思いをしている人が広い世界の中には、存在しているんだと実感できたからです。
たった一つのDMが過去の私を抱きしめてくれた、そんな気持ちでした。
繋がりを大切に
エッセイのために始めたインスタは、私に色々なことを、そして世界の広さを教えてくれました。
表現の形は違うけれど、彼女の作品がこれからより多くの人の目に触れることを、心から楽しみにしています。彼女がどんな人生を歩み、どんな感情を抱いて生きてきたのか、それは私には分かりません。
ただ、作品を見るたびに思うのです。
きっと、人の痛みがわかる優しい人なんだと。
そして彼女自身も痛みを知り、乗り越えてきたからこそ、絵を描くことで広い世界との関わりを持とうとしているのだと。
SNSでの関わりで傷つくこともあるかも知れない、心無い一言に縛られて行き場を失うこともあるかもしれない。けれど、私に関わってくれる人たちは、きっと人の痛みがわかり、同じように痛みを味わい生きてきた人だと思うのです。
だからこそ、エッセイを読んで感想をくれる人がいる。
DMで想いを伝えてくれる人がいる。
現実世界だけでなく、画面越しの多くの人たちにも支えられて今の私がいるのです。
そして私自身も、同じように気持ちを返したいと思っています。
最後に
いつもエッセイを読んでくださりありがとうございます。
このエッセイは、線画アーティストのmayさんについて書かせていただきました。少しでも多くの人に、彼女の素晴らしい作品を知ってもらいたいと思います。
そしてこれからもmayさんにしかできない形で、自由に表現をし続けてほしいと、心から願います。
素晴らしい作品と才能に、心から敬意を・・・。
ナイーブな私に勇気をください