いつも社会の底辺からこんにちはを読んでくださり、本当にありがとうございます。
私一人の力ではなく、多くの方々の支えがあり、そして読んでくださる人がいる。そのおかげで、私のブログも有意義なものになっていると日々感じております。
そして今回は、最後のリクエスト企画です。
フォロワーさんのモトさんからいただいた「オカルトについて」を書いていこうと思います。
モトさんについては、以前ブログてもスポットライト企画でエッセイを書かせていただきました。初めての出会いは、もちろんInstagramなのですが、彼の手がける作品に魅了され、そして、亡き祖父との思い出をもう一度感じさせてくれた作品に感銘を受け、取材をさせていただきました。
似ている部分があったり、お互いにオカルト好きだったりと、作られている作品とはまた違ったモトさんの人間性にも惹かれる部分があり、今でも大切なフォロワーさんの一人です。
そんなモトさんからいただいたリクエストをもとに、私の実体験を今回は書いていこうと思います。
それでは、スタートです!!
美しいお姉さん
これは私が小学生の頃のお話です。
当時はマンションに住んでおり、その横には大きな葬儀屋さんが建っていました。霊道と呼ばれる場所だったこともあり、私以外にも心霊体験をしたことがある人や、私自身も不思議な体験や悪夢などを経験してきました。
しかし子どもだったということもあり、不思議に思うことはあっても、不安や恐怖心を抱くことはありませんでした。
もちろん私には友人がいなかったので、学校帰りに一緒に楽しく談笑できる相手もいなければ、何かについて語り合える人もいませんでした。
いつものように下校をしていると、住んでいたマンションが少しずつ近づいてくるような感覚に襲われ、(ふぅ〜、ようやく家に着く。あと少しだ。頑張れ)と疲れ切った体を元気づけながら、家を目指して歩いていました。
すると、後ろの方から声が聞こえてくるのです。
何度も何度も聞こえる声は、どんどん私の方に近づいてきました。そして、一度止まってなんて言っているのか耳を澄ませてみると、私の名前を何度も呼んでいることに気づいたのです。
(あっ、やっぱり私のことを呼んでいるんだ!でも一体、誰だろう・・・)そう思い、恐る恐る振り返ってみると、あたりには誰一人いませんでした。
おかしいなと思いつつ、横を向くと、そこには綺麗な女性が立っていました。
私の顔を見てにっこりと微笑んで、「納言ちゃん」とだけ言ったのです。
「どうして私の名前を知っているの?」と聞くと「知ってるよ?私だけじゃなくて、みんな知ってるよ」と言いました。
疑問を持つべきタイミングでしたが「ふーん、そうなんだ」とだけ言った私は、この状況をまるで理解していなかったのです。
私が歩き出したタイミングで、お姉さんも歩き出しました。
今でもはっきり覚えているのですが、パステルブルーのカーディガンに、白のフレアのスカートを履いていました。髪の色は栗のような色で長く、少しだけカールがかかっているようでした。
私を見てニコッと微笑んだ笑顔は、子どもながらに(綺麗な人だなぁ・・・)と息をのむほどだったのです。
お姉さんと二人きり
一緒に歩き出したタイミングで、二人で色々な話をしました。
けれども、雑談の内容までは覚えていません。ただ時折、心地の良い風が舞うと、かすかにお姉さんからいい匂いがふわりと香るのは、よく覚えています。
手を後ろに組みながら、歩幅を合わせてゆっくりと歩くお姉さんに色々なことを話しました。
学校では一人ぼっちだったこと。
友だちがいなくて、寂しい思いをしていたこと。
こうして声をかけてくれたことが、とても嬉しかったこと。
その話を聞くたびに「そうだったんだね」と、悲しそうな顔をして微笑んでくれました。
ふと私は、ある質問をしました。
「お姉さん、私はアトピーでいじめられているの。でも、大人になってもこのままなのかな・・・。お姉さんみたいに綺麗になれないのかな」と。
するとさっきまで歩いていた足をピタリと止めて、私の顔をじっと見つめた後、深呼吸をしてゆっくり息を吐き、そして話し始めました。
「私もね、納言ちゃんと同じアトピーだったの」
「えっ!?お姉さんが!?だって今、こんなに綺麗じゃん」
「お父さんとお母さんが、治すために色々努力してくれたんだ。納言ちゃんくらいの時はね、私も友だちができなくて、すごく悲しい思いをいっぱいしてきたの。でもね、大丈夫だよ。いつか心から大切だと思える人が現れるから。ずっと一人ぼっちじゃないよ」
「本当に?お姉さんみたいに綺麗になれるの?誰も嫌なこと言ってこない?」
「もちろん!今は辛いかもしれない。悲しいことも沢山あるよね。でもね、いつか納言ちゃんのことを分かってくれる人が現れるはずだから。だってほら、私だって納言ちゃんのこと、とても素敵な人だと思っている一人だもの。大丈夫。いつか必ず、幸せな時がやってくるから」
そう言うと、お姉さんはまた歩き出したのです。
私も慌ててお姉さんの横につき、もう一つ質問をしました。
「お姉さんには、好きな人はいるの?」となぜこの時こんな質問をしたのかは、正直わからないんです。ただその時の私は、なんとなくだけれど、聞いておかないといけないような気がしました。
とても大切なことのような気がしてならなかったんです。
「大切な人?いるよ。私のことを受け止めてくれた人が。すごく優しくて、思いやりのある人なの。見た目ではなく、ちゃんと心が通った人なんだ」そう言いました。
けれども、少しだけ難しい話だったので「そっか」とだけ言うと、「いつか納言ちゃんにもわかる日がやってくるよ。見た目じゃない、心を見ようとしてくれる人の意味が」と言い、またニコッと微笑んだのです。
そして私は、「お姉さん!ありがとう。私もいつか、素敵な人に出会えるような、お姉さんみたいな人になるよ」と言った時、後ろから「ねえ!!」と声をかけられました。
私は驚いて振り返ると、そこにはお姉さんの姿はありませんでした。
あるのは見慣れた風景と、忙しなく通り過ぎていく車。
そして真横には、大きな葬儀屋さんがありました。
葬儀屋さんの手前にあるのが私の住んでいたマンションだったので、通り過ぎてしまったことにとても驚きました。
どうして、ここまで来たことに気づかなかったのだろう、そんな気持ちで一杯だったのです。
キョロキョロとあたりを見渡している私に、家の近くに住んでいた同級生が声をかけていたのです。そして、「一人で何してたの!?」と不思議そうな顔をされたことに、今起きている状況を理解することができませんでした。
「本当、変だよね・・・」そう言われたきり、同級生は走ってどこかへ行ってしまいました。
私は、一体誰と話をしていたんでしょう・・・。
大人になって分かったこと
大人になるにつれて、忘れてしまったことはいくつもあります。
けれどもお姉さんと話した言葉や、空気感、そして彼女の香りは、今でもどこか片隅に残ったままです。
そして何か辛いことがあるたびに、(お姉さんは、いつか私にも心を見てくれる人が現れるって言ってくれてたから、きっと大丈夫)と励ます言葉として残し続けていました。
ある時、短大の頃の友人にこの話をした時、「大人になった納言が来たんじゃないの?」と言われたこともありましたが、私の今の容姿とは似ても似つかなかったので、それはきっとないでしょう。
もしかすると、葬儀屋の前で立ち止まったことが関係するのかもしれないと思ったこともありましたが、それも真相はわからないのです。
彼女が一体誰だったのか、そして私に何を伝えにやってきたのか。
それは、これから先も謎のままなのでしょう。
最後に
私はこの思い出は恐怖の記憶ではなく、とても大切な一つの思い出として残し続けています。
どんな存在であれ、科学で証明できない体験だったとしても、当時の私に大きな勇気をくれたことには、間違いありません。
常に孤独を感じていたし、本当に独りぼっちが辛かった。
誰か一人でも、心を許せる友人がいたら。
誰か一人でも、話し相手がいて、一緒に楽しさを共有できる人がいたら。
それが、当時の私の願いでした。
彼女の言葉が、私を救ってくれたのです。
未来にはきっと素晴らしいことが待っていると、希望を与えてくれました。
そして今、彼女の年齢を超えたかもしれない大人になり、本当に色々なことを経験した私が言えることは、辛いこと、悲しいこと、そして時には心が張り裂けそうなくらい苦しいこともありました。
けれども私という存在を受け止めて、愛してくれる人に出会いました。
見た目ではなく、中身の部分を知り、一緒にいてくれる友人がいます。
子どもの頃の私が、欲しくてたまらなかったものと出会うことができたのです。
決してお金では買えない、どんなことよりも価値のある存在と・・・。
あの時のお姉さんの言葉がなければ、この幸せに気づくこともできなかったでしょう。
本当に大切なことは、見た目ではなく心を見ようとする人だということを・・・。
もう彼女に会えることは、きっとないでしょう。
ただ、もしも願いが叶うならば、もう一度だけ彼女に会いたいのです。
「お姉さんの言った通りだった。辛いことも沢山あったけれど、私の心を見てくれる人が、こんなに沢山現れてくれたんだ」そう伝えたいから。
きっとお姉さんはその言葉を聞いた時、何か言葉を発するわけでもないけれど、きっとまた、ニコッと私に微笑んでくれるでしょう。
コメント ナイーブな私に勇気をください
あなたは一体誰なのかを読んで
ふと昔読んだ本を思いだしました。
心には、自分も他人も知っている自分、他人が知っている自分、自分しか知らない自分、そして自分でも知らない自分と4つの窓がある話です。
きっと納言さんの自分が知らない、気づかない自分自身が語りかけてくれたのではないでしょうか。
そんな気がしました。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
TK1979さんの感想を読みながらなんとなくだけれど、腑に落ちる部分がありました。もしかすると、あの日現れた女性は、私の心の中にあるもう一人の私だったのかなと思うと、なんともいえない気持ちの中に、少しだけ嬉しさと安心感も入り混じっている、そんな気持ちになりました。
当時はすごく孤独というものを感じ、寂しさを常に抱いていたので、そんな私を気にかけてくれたもう一人の私だとしたら、あの時感じた懐かしさと安心感も説明がつくような気がしました。
いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。