さて、今回はファッションと映画の両アカウントから、次に読みたいエッセイを募集いたしました。
「どんな感じなるのかなぁ」と、ワクワクしながら見ていました。
ちなみに夫は、この「紹介された暴走族の家で食べた唐揚げにあたった話」に投票していたので、選ばれた時ものすごく喜んでいました(笑)。
そのほかにも「どれも読みたくて悩んでしまいました」とか「タイトルが気になりすぎて笑いました」なんて言葉もいただいたり、いつも読んでくださる方の中には、投票するものが毎回少数派のやつで、今回も惜しくも選ばれず、私も「ああああああ、今度こそ選ばれて欲しかったぁ」とまぁ、こんな感じで一番私が楽しみながらアンケートをとらせていただきました。
ご協力いただき本当にありがとうございました!
いただいたコメントや感想には、全て返信をしています
それでは本題スタートです!!
出会いは紹介から始まった
私が社会人一年目の時、ある友人とほぼ毎日のように遊んでいる時期がありました。
仕事終わりに会いに行くこともあれば、休みの時間を合わせて遊ぶこともありました。お互いに別の職種だったので、中々時間を見つけることが難しかったのですが、それでもお互いに合う時間を作るほど仲良しでした。
そしてマッチングアプリを教えてくれたのも、彼女でした。
二人とも学生時代に良い思い出がなく、青春を取り戻すかのように狂って遊んでいました。
社会人一年目の時には、まだ彼氏も高校以来出来たことはなく、恋愛にも無縁で、むしろ男性が怖いというイメージさえ持っていました。ただこの先の未来を考えた時、「私は一生独り身なのか!?彼氏もできずに孤独死してしまうのか?」と、妄想が膨らみすぎて「誰かいい人いないかなぁ」と言ったことから、物語は動き始めてしまうのです。
「マッチングアプリってどうなの?変な人いないの?」
「いや、いないよ。別に普通に出会えるし、会う前に電話とかすればちゃんと相手の表情見えるから」
「そっかぁ。でも少し怖いなぁ・・・。マッチングアプリで出会うの。でも彼氏は欲しいし」
「・・・あっ!!それならさ、私の知り合い紹介してあげるよ。少し変わってるけど根はいい人だし、面白いよ」
「えっ!?紹介?大丈夫?怖くない(笑)?」
「大丈夫だよ!私も何回か会ったことあるけれど、全然普通の人だから」
「なら、お願いしてみてくれない?」
ということで、まさかの紹介という形で、私はこの暴走族と出会うことになります。しかしこの時には彼の素性を知っていたわけでもなく、少し変わっているけど面白い人という形で紹介をされただけでした。
唐揚げデートの約束を
早速紹介された彼の見た目は、黒髪の長髪に金が混じったマダラな髪色をしていたので、ここではマダラさんと呼ぶことにします。
紹介されたその日からやり取りを始めましたが、まだ男性経験の少ない私は、会話をどうやって広げたらいいかも分らず、ありきたりなことしか言えなかったような気がします。
仕事に行く前にお互いに「行ってきます」と送り、帰ってきた頃に「今終わったよ」と送る。側から見たら恋人同士にも見えるやり取りでしたが、過去の話をしたり、恋愛の話をしたりすることはなく、好きな音楽だったり、服だったり、そんな感じで浅く広く話していました。
そんな時マダラさんから「ねえ、納言ちゃんの好きなご飯って何?」と聞かれたので、当時猛烈にハマっていた「唐揚げ」と答えました。
すると「俺めちゃくちゃ唐揚げ作るのうまいんよ。いっぺん納言ちゃんに食べさせたいんだけど、今度家に来ない?」と提案をされたのです。
やり取りをしてから1ヶ月が経とうとしていたこともあり、「せっかくなら行ってみようかな」と承諾をしました。
マダラさんは「めちゃくちゃ楽しみだ!すげぇ美味しい唐揚げ作るわ」と張り切ってくれました。その言葉に少しだけキュンとしてしまった私は、マダラさんに会うなら新しい服でも買おうかなと、久しぶりのデートに胸を躍らせていました。
ただマダラさんが一体何者なのか、この時はまだ知らなかったのです。
デート当日に漂う恐怖
約束の日がようやくやってきて、私は新調した黒いワンピースにカーキの羽織を着て、待ち合わせの駅で待っていました。
すると砂だらけの黒い軽が私の目の前に到着したのです。(げっ、なんだろう。この車)と思っていると、ドアガラスを開けて「納言ちゃん!お待たせ。助手席に乗りなぁ〜」と手招きされたではないですか!
(おいおいおいおい・・・。マジかよ、今からこの車に乗るの?めちゃくちゃ不安なんですけど・・・)と心の声が漏れてしまいそうになるのをグッと堪え、「お願いします」と言い、助手席に乗ることにしました。
乗ってすぐにマダラさんは「あのさ、ちょっとこの曲かけてもいい?」と言われ「全然大丈夫だよ」と答えると、ズンズンズンズン鳴り響く車内と、なんて言っているかも分らない呪文のような歌詞、そしてハンドルを握りながら本気のエアードラムを始めたことに、さらにギョッとしてしまったのです。
なんだか見てはいけないものを見てしまった、そんな気分でした。
すると「これ、俺の先輩が作った歌なんだよね。やっぱ先輩かっけーわ。いやね、このドラムの音がしびれんのよ。なんていうかさ、命懸けで叩いてる感じするよね。俺憧れてたんだ、この先輩に」
「そ、そうなんだ。マダラさんはバンドとかやっているの?」
「いや、俺一度も楽器触ったことねぇ(笑)」
(おいおいおいおい、だったらそのエアードラムはなんなんだよ。さも経験者みたいな手つきだったぞ。すごい慣れた手つきだったのに、やったことねーのかよ!
えっ、これはどういう状況なんだぁぁぁぁ)と心の中でもう一人の私が叫ぶ中、気持ちよくエアードラムを叩きまくるマダラさん。
信号が赤になり車が止まると、ドラムの動きは激しさを増し、ついでに足までもが加わっていく、かと思えばギターを弾き始め、車内は一人お祭り騒ぎ舞いたいな状態が数十分続きました。
これほど衝撃的で、早々に帰りたいと思ったことは、後にも先にもマダラさん以外にいません。
謎の跡
この車内ではもう一つ、、ソワソワしてしまうものがありました。
それがマダラさんの腕に円を描くように残されていた跡でした。綺麗に間隔を取られた跡は、誰が見ても人工的につけられたものでした。ただいきなり「その跡どうしたの?」なんて聞けないから、もしもこの先で聞くタイミングがあれば聞いてみようと固く心に誓ったのです。
この時にはめちゃくちゃ帰りたくなっていたのですが、謎の跡の正体、そして美味しいと評判高い噂の唐揚げを食べるまでは帰れないと、なんとか自分を律してマダラさんの機嫌をうかがいながら、なんとか楽しそうに振る舞っていたような気がします。
さて車内はひたすら爆音の中、エアードラムをし続けるマダラさんと、目的が変わってしまった私という、なんとも不思議な構図のまま目的地へとひたすら進み続けていました。
もっと落ち着いて会話がしたかったと思いながらも、なんともイキイキとハンドルドラムを叩く姿を邪魔するわけにもいかず、目的地までほぼほぼ、彼のパフォーマンスを見届けるだけの車内となってしまいました。
車を走らせ約30分くらいのところで、ようやく目的地マダラハウスに到着したのです。
車の中は、ただの序章に過ぎないことを知る由もなく、私はひとまず胸を撫で下ろしたのでした。
<次回予告>
コメント ナイーブな私に勇気をください
面白すぎる…!先が気になりますっ
読んでくださりありがとうございます!!前半だけでも濃いお話だったと思うのですが、後半戦にはさらに色々なツッコミどころがあると思うので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います❤️
コメントをいただけたこと、そして「面白すぎる」と言っていただけたことが、エッセイ冥利に尽きます!
本当にありがとうございました。