「天国への道は地獄から始まる」(ダンテ『神曲』より)
始まりの悪夢
小学3年生の頃に、たった一度だけ見た悪夢がありました。人間と動物が入れ替わる世界の中では、言葉を話すのは、人間ではなく動物でした。真っ黒な場所には、石のようなもので仕切りがしてあり、人間は言葉ではなく、うめき声をあげていました。
ムチで打たれている者、暴力を振るわれている者、そこでは声にならないような悲痛な叫び声が響き渡り、動物たちはその声に歓喜の雄叫びをあげていました。
「もっとやれ!!!もっと苦しめ!!」そんな言葉が飛び交う地獄のような場所に、1人ポツンと影から様子を覗いていたのが私でした。
恐怖のあまり、何度も何度も(これは夢だ、これは夢だ、これは夢だ!!!)と唱えると、そこには見慣れた家の寝室の風景がありました。
(あぁ、助かった・・・。これでもう大丈夫)そう思ってまた眠りにつくと、夢は振り出しに戻り、また人間と動物が逆転した世界に引き戻されてしまうのです。
たったその日だけ見た夢でしたが、何度も目を覚ましても、泣いて起きても、家族が目を覚ますこともなければ、夢が変わることもありませんでした。
小学校3年生の頃に見た夢から、私の不思議な奇怪体験は起こるようになってしまったのです。
死後の世界へ
悪夢を見てすぐのこと、私はとても不思議な体験をしました。
決して簡単に「行ってみたいな!」と思って行ける場所ではないことは、確かだと思います。そんなありもしないような世界に、一度だけ行ったことがあるのです。
「死後の世界」と言われる場所に・・・。
小さい頃からオカルトじみた話が好きで、図書館やテレビなどで浅い知識を入れながら、「天国は存在するんだなぁ」とか「地獄ってどんなところなんだろう」なんて考えることが、度々ありました。
そしてふと天国はどんな人が行けて、地獄はどんな人が選ばれてしまうんだろうということも、疑問に抱くようになっていったのです。そこで気になることは、自分が天国行きなのか、地獄行きなのかというところなのですが、考え出したら少しの期待と漠然とした恐怖が襲ってきて、ありとあらゆる人に「天国はある?地獄って誰が行くの?」と聞いていたような気がします。
両親に「ねえ、地獄って本当にあると思う?」と聞くと決まって「行ったことがないからわからない」と言われるか、「悪い子は連れていかれるぞ」なんて脅されるかのどちらかでした(笑)。
それもそうですよね。だって彼ら自身も一度も見た事もなければ、ましてや行った事なんてないのだから・・・。
けれども不思議だったのです。どうして行ったことも見たこともない人が大半なのに、死後の世界についての本が沢山あるのか。
そんな疑問も日が経てば少しずつ薄らいでしまいます。
しかしとうとう私は、生きていながら死後の世界に行く機会が巡ってきたのです。
目の前に広がる景色と階段と
ある日私はいつものように、父に「おやすみなさい」と声をかけて、母が寝ている寝室に行くことにしました。
母が「もう寝るの?」と聞いてきたので、「うん」とだけ言って、足をピタッとくっつけながら温もりを感じつつ、ウトウトしはじめました。
ふと体が軽くなった気がした私は、ぼんやりする視界が徐々にひらけていくのを感じながら、辺りを見渡しました。そこに映る景色には、全てを包み込んでしまいそうな分厚い雲と大きな階段がありました。
そしてその階段を老若男女が、自分たちのペースで上へ上へと登っていく姿も見えていました。あまりにも長い階段だったので、中には休憩したり、下を眺めながら「おお〜高いなぁ」と感心している人もいました。
その誰もが、今ある状況に疑問を持っている様子でもなく、とりあえず階段があるし、周りの人たちが登っているから一緒に登っているという感じだった気がします。
私もとりあえず周りの様子をうかがいながら、長くて高い階段を一つひとつ登っていきました。
不思議と疲れることはありませんでした。
やっとの思いで階段を登りきると、そこにあったのは木造の道場のような建物だったのです。
ついた先の道場で
目の前にドンっと構える道場に、誰1人疑問を持つことなく、吸い込まれるように中へと進んでいました。やっぱり私も、ここは真似をしておこうと思い、同じように木造の道場のような建物へと入っていきました。
入り口にはスーツを着た審判みたいなおじさんが立っていたり、奥に置いてあるパイプ椅子に座っているおじさんもいました。
すると後ろから「ねえ!あそこだよ!あれを見ればいいんだって〜」という声が聞こえてきたのです。
その声が指す方向に目を向けてみると、そこにあったのは長方形の大きな木で作られた看板が飾られていたのです。
(あぁ、これを見ればいいのか)と思い看板に近づいてみると、そこには受験発表のように数字の代わりに名前がズラーっと並んで書かれていました。
「天」「地」「七」の意味を知る
私はとりあえず、自分の名前を探してみることにしました。
看板の端の方に名前を見つけたのですが、名前の下に「天」という文字も一緒に書かれていました。(この『天』の文字はなんだろう・・・)と不思議に思っていると、私の隣にいた人は、どうやら名前の下に「七」と記されていました。
「七」と書かれていた人は、おもむろにパイプ椅子に座っているおじさんのところに向かい、「あの、私の名前のところに『七』と書かれていたんですけど、これってどういう意味ですか?」と聞いていました。
おじさんは、表情を変えることなく淡々と「『七』と書かれている方は、人生をもう一度初めからやり直してもらいます」とだけ答えました。
「えっ!?もう一度やり直すってどういうことですか!?天国とか地獄とかならわかりますけど、もう一度ってどういうことなんですか!?詳しく教えてください!!」
「もう一度やり直すという意味です。それ以上でもそれ以下でもありません。規則ですから。その規則に従ってください」と言って、それ以降何かを発することはしませんでした。
戸惑うことしかできない女性をよそに、また別のおじさんが道場の外からやって来て「『七』の方はこちらに来てください。『七』の方はこちらですよ〜!」と声をかけ始めました。
先ほどの女性はなんとも言えない表情を浮かべ、声のする方へとトボトボ歩いて行ってしまいました。
どれくらいの人が『七』だったのかは、分かりませんが道場の中は、少しだけスッキリとした雰囲気になり、残されたのは『天』と書かれた人と、『地』と書かれた人だけになっていました。
この状況に若干の恐怖を感じ始めていた私は、勇気を出してその辺にいるおじさんに「『天』ってどういう意味ですか?」と聞いてみました。
するとおじさんは、優しい表情で「天国に行けるって意味だよ。よかったね!お嬢ちゃんは天国だ!」と頭を撫でながら教えてくれたのです。
私は内心、ホッとして(あぁ、よかった。私天国に行けるんだ)と、このおかしな状況に飲まれ始めていました。
すると後ろから、「じゃあ、俺は地獄ってことかよ!!!そんなの誰が決めたんだ!責任者を出せ!勝手にくだらねぇことしやがって!!!」と怒鳴り始めたのです。
どんどんこちらに近づいてくる怒り狂った人を見て、殴られるかもしれないと体にギュッと力が入った瞬間、怒っていた人はスーツを着たおじさんたちに捕まえられてどこかに連れていかれてしまいました。
様子を見ていた人たちは、その光景に何か言うわけでもなく、ただ空気感だけは「あ〜あ・・・」と言う、自業自得というような空気感だけが流れているような状況でした。
そんな雰囲気をカラッと晴れさせるかのように、「『天』と書かれている方は、こちらに来てください」と呼ばれたのです。
私も含めた、残った数名の人たちは呼ばれた場所に向かい、おじさんの指示の指示に従って、道場を出た先にある長いエスカレーターに乗ることになりました。
こうして私たち『天』と書かれた人たちは、長い長いエスカレーターに乗り、天国と言われる場所に行くことになったのです。
その場所にいた誰もが、安堵と喜びの表情を浮かべ、「よかったね。あなたも天国なんだね。おめでとう!!」、「こちらこそ、よろしくお願いします」と挨拶を交わしながら、各々天国に行く準備をしているようでした。
次回予告
私の真の地獄見学がいよいよ始まる。
その先で見たものは、そして本当の地獄の意味とは・・・。
次回、全貌が明かされる。
あなたも地獄の目撃者となるだろう・・・。
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ナイーブな私に勇気をください
次回が楽しみす!!
天国と地獄、あるのかな?死んだ後の考える余裕は今はないなー_:(´ཀ`」 ∠):
モトさん!!絶対好きだと思いました
実際に体験した私でさえも、「天国と地獄はあると思う?」なんて聞かれたら、答えられないんですよね・・・。
死後の世界は色々な角度で語られてきましたが、やっぱり私は、怖くないように自分の都合のいいような死後があればいいなと思ってしまいます。
そういう考えが浮かぶところも「なんだか人間らしいな」と思ってしまいます(笑)
ぜひ、次回もお楽しみに❤️