最近めっきり登場が減ってしまったアイツ、それなのに時たま顔を出して何やら余計なことを言っては、人の反応をうかがってくる奴がいる。
彼のことを心の中でネガティブさんと呼んで、彼はワタシのことを納言ちゃんと呼んでくる。
正直あまりお会いしたくはないけれど、たまにふらっと現れて、余計な一言を言っては、ニタニタしながら様子をうかがってくるんです。
それがまた腹立たしいけれど、図星だからやってらんない。
「どうしてこんな時に限って現れるんですか!!」と声を荒げてみると、「いやいや、呼んだのは納言ちゃんの方だろう?僕はいつだって呼ばれたらヌルッと現れるのが、主義なのさっ」と言いながら、ワタシの姿を見つめてくるんです。
虫の声かと思いきや
秋のよるは虫の声がとても美しく、そしてなんとも言えない心地よさを運んでくれます。
季節の移り変わりを感じて、ふとした時に「あぁ、もうすぐ一年が終わるんだなぁ」と記憶のページをめくりながら、思い出と照らし合わせていく。
そんな時に限って「ヤッホっ!どう、最近マイナス感じてるぅ?」とやってくるんです。
「あの、せっかく心地よい風に当たっていたのに、台無しですよ・・・」
「いやぁね、そろそろ登場の時期かなって思ってさ。どうよ、最近。マイナスエネルギー感じてる?嫌なことあった?どう?なんか面倒に感じてることとかない?良かったら僕聞くけど。笑」
「なんでいつも嬉しそうなんですか!!」
「そりゃそうさ。だって、僕にとってはマイナスのエネルギーが元気になる源なんだから。納言ちゃんが落ち込んでくれればくれるほど、文句を言えば言うほど、僕はどんどん元気になっていくんだよ。だからほら、なんかあるでしょ。最近のネガティブトピックス」
「・・・。そんな風に言われると、思い出しにくいなぁ。あっ、でも、色々考え事はしますよね。夢のこととか、お金のこととか。あとは、未来のこととか」
「いいねぇ。漠然としてる悩みってやつだ。どうしようもないのに悩んじゃってさ。君がどうこう考えても、未来なんて分かるわけないのに、そうやって考えてドツボにハマるのが、人間の馬鹿げたところだよ」
「ならなんで聞くんですか!!」
「だから言っただろ?それを聞くのが僕のエネルギーチャージなの!!」
「本当に、趣味悪いですよね・・・」
「なんとでも言ってくれ。こっちからみたら、ありもしないたらればの話で落ち込んでる方が、よっぽど悪趣味だね」
そんな具合に、嫌味を言いながら人の負の感情をおかずに、ニタニタとしているのが、ネガティブさんなのです。
心の中は、どう見えてるの
ネガティブさんは、終始嬉しそうに根掘り葉掘り聞いてきて、ワタシの気持ちを何度も逆撫でしようとしてきます。
しかし、話を聞いてもらっている間、話しているこちらの方が馬鹿馬鹿しくなってきて、悩んでいることなんてどうでも良くなることが多いのです。
それを定期的に繰り返しています。
悩んで、アホらしくなって、また悩んで、嫌味にイラッとして。
「あのさ、納言ちゃんは上ばかり見すぎなんだよ。それも自分と全く別のことをしている人ばっかり」
「別のことをしてる人?」
「そうさ、人間ていうのはさ、適材適所っていうものがあるだろ?得意不得意があって、どれだけ憧れていても、その人と同じ人生は歩めないってもんだよ。それなのに、片っ端から羨ましがってどうするんだい?そんなのはっきり言って、時間の無駄だね」
「・・・そこまで言わなくてもいいじゃないですか」
「でも図星だろ?今から世界に認められるバンドマンになれるのかい?世界中を感動の渦に巻き込む俳優には?それともスーパーモデルにでもなれると思っているの?君は、見境なく羨ましがってるけど、じゃあ逆に羨ましがっている人たちは、君と全く同じことができるかって言ったら、無理な話だろ?」
「まぁ、確かにそうですね」
「ほらみろ。自分の代わりは自分しかいないんだ。側から見たら順風満帆な奴だって何かしら苦労はしてるし、ネガティブの感情を君よりも多く抱えているかもしれない。所詮は表面上しか見えていないのさ」
「そっか。切り取られた部分しか見ていなかったけれど、見えていない余白の部分は、見ようとしていなかったかもしれない」
「だろ?だからさ、まずは自分のことから見てごらんよ。やれることはなんなのさ、君にしか出来ないことはなんなのさ。ちなみに言うけど、ネガティブの感情を出して、落ち込むことなんて誰だってできるんだ。僕が言うのもなんだけど、そんなことしてる間に、もっとやるべきことを見つける方が賢いね」
「確かにそうですよね。なんか、ネガティブさんに言われるのも変な感じですけど。笑」
「たまにはいいこと言うだろ?君のやりたいことは、なんなのさ」
「ワタシは、今までの出来事を嘘偽りなく書いていきたい。それを少しでも多くの人に読んでもらって、勇気を与えられるような物書きになりたい!!」
「ならやるべきことは一つだね。書き続けなよ。ぐだぐだ言ってないでさ」
そう言ったのを最後に、ネガティブさんは姿を消してどこかへ行ってしまったのです。
秋の風と、心の変化
ネガティブさんに言われたことは、随分と心の中に響き続けていました。
嫌味の一つや二つを言ってはくるけれど、それでも言っていることは正しかった。
たまに訪れるこの感情も、彼の言葉でハッと気付かされる瞬間がありました。
時には、全てを投げ出してしまいそうになることもある。
「ワタシなんて」と自暴自棄になってしまうこともある。
そんな時は、秋の風に当たりながら、彼の言ってくれた言葉を思い出してみようと思うのです。
「上ばかり見てないで、自分のやれることをやろうよ」そうどこかで背中を押してくれる限り・・・。
ナイーブな私に勇気をください
突然現れるを読んで
負の感情にパワーを注いでも、楽しい感情にパワーを注いでも、同じ時(時間)しか生きれないのであれば、負に心奪われず、楽しいことをして生きましょう。時(時間)を戻ることができないのであれば···。
私もそうして生きていきたいです。
負の感情の助言も少し耳を傾けて。
今回もありがとうございます。なにがしら、気づかせてもらったり、気づいたり(笑)
ついついワタシ自身もよく、負の感情の方に耳を傾けて、どんどん谷底に落ちていってしまうことが多くあります。
その度に自分を責めて、他人を羨んで、環境を憎んで。そうやっていくと本当にキリがなくて、心が黒色に支配されていくような感覚がするんです。
だからこそ負の感情に耳を傾けた分、プラスな言葉を発してくれる人の近くに寄って、新しい考え方や想いを教えてもらうようにしています。
それは自分一人の力では、どうしても出来ないことだからです。
誰かの言葉に耳を傾けた時、初めて新しい感情に出会えることがあります。
それでも難しいことはあるけれど、少しずつ少しずつ前を向いて歩いていきたいと思います。
負の感情に耳を傾けて、プラスの言葉に身を委ねて。